第6話 ねぎ
ねぎはお好きですか?
私は大好きです。
お蕎麦に薬味としてついてきたら、全部使い切るほどです。追いねぎできるシステムのお店なら絶対にお願いしてしまうでしょう。
ねぎの苦手な友人と食事に行って、薬味のねぎをもらっては、口がねぎ臭いと言われて嫌がられます。
炒飯ではあの独特の香味がいいアクセントになり、湯豆腐ではポン酢と相乗効果を生み出し、納豆には欠かしたくない脇役です。
フライパンで炒める時のあの香り。嗅ぐと食欲が湧いてきます。
新鮮なものがより香り高く、瑞々しくて美味しさは格別なのですが、新鮮であればある程臭いが強いです。
それは食べるだけに限らず、調理する段階でも影響を及ぼします。
ねぎはみじん切りにして瓶にストックするのですが、買ってきたばかりのねぎを切ると、その時に着ている服についた臭いは生半可ではありません。
直接触れた部分だけではありません。
エプロン全体、下に着ている服の首周り、手はもちろん顔や髪にもつきます。
しかも、服は一回の洗濯では落ちないくらい強烈です。
洗濯後は大丈夫かなと思うのですが、畳む時に嗅ぐとやはり残り香が……。
観念して漂白しました。
ちょっと前に流行り出した、あの酸素系漂白剤です。
臭いはだいぶ無くなりましたが、一週間くらいはふとした瞬間にあれ?と思う時がありました。
あの臭いはアリシンや硫化アリルという成分だそうです。
風邪をひいた時などにこの香味成分がいいようなのですが、平常時では影響力がありすぎます。
かといって、からからに乾燥した萎びたねぎだと物足りない。
周囲への影響(配慮)を取るか、味(自己満足)を取るか。
板挟みというのはこんなにも苦しいものなのですね。
今ならハムレットの気持ちがよくわかります。
嘘です。
どちらを取るか。
ねぎの場合はその時の状況で判断すればいいだけです。
午後も仕事がある時のランチ、ねぎの苦手な方と一緒の食事、勝負服、そういう場合ではセーブすればいいと思います。
誰憚ることない状況、例えば次の日が休日の夕食の一人飯や、ねぎ好き同士の食事、部屋着に降格可能な漂白できる二軍の服、とても外には着ていけない最悪の場合捨ててもいいような三軍の部屋着、そんな時には存分に食べたり料理したりすればいいと思います。
断定的なことを申しましたが、あくまで個人の意見です。責任は持てません。
判断は皆様にお任せします。
よいねぎライフを!
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