第42話 夜の旅路
「もう、ここまで来ればいいかしら?」
「そうだな。魔力も無駄には出来ねぇしな。だが、もう少し歩きで距離を取れよ?」
「分かったわ!」
不審な5人組としっかり距離を置けたから、この先は歩きで移動ね。
でもこの『影潜り』良いかもしれないわ。だって、影さえあれば、痕跡を一切残さずに移動出来るんだもの。
例えば、匂いを辿る警察犬の様な動物がいても、影に入ってしまえば捜索を途中で断つことが可能よね!
それに、何だか隠密っぽいわ!
影に生きる……って感じ?
丁度今の私の状況にぴったり。
もし、私が死んでも屍を拾う人は元よりいないし、それ以前に消えてしまうなら気にするだけ無駄。
日本に戻る術があるなら試したいけど、今のところは、その欠片も見当たらない。
町は町で不穏な要素があるし、魔物は魔物で怖いけど、人の悪意や欲望の方が厄介度が高い。
これって、結局何処にいても、人がいる限りは無くならない業のようなものね。
それでもここの世界の人は、安易に奪って得ようとするのを改めて欲しいわ!!
それから月明かりを頼りに暫く歩いて行くと、差漣の様な水音が微かに聞こえて来た。
「……わぁ!湖かしら?大きいわね…。月が湖面に写ってキレイだわ。」
「夜は余り近づくなよ?水棲の魔物に引きずり込まれるぞ。」
「ああ……。やっぱりいるのね。でも、ここなら湖から少し離れて休んでも良いわよね?」
「そうだな。」
やっと休める…。ご飯は作り置きを食べてもう寝ましょう。
こんな時、収納が優秀で本当に大助かりだわ。
作ったままの状態で、熱々のご飯がすぐ頂ける。
レンチンって便利だけど、やっぱり出来上がりが少し違うのよ。
サッと食事を住ませ、魔術で身綺麗にしたら、今日はもう寝ましょうか!
あ、そうだわ、パジャマに着替えなきゃ!
本当に着替えがあるって安心ね。
さっきの町で裁縫道具が買えたのも良かったわ。
時間を見て、パジャマの袖をつけ直そう!
「バンディエル、もう寝るからあなたも休んでね。」
「おう、分かった。寝坊すんなよ?」
「その時の疲労度によって睡眠は必要な休息よ。明日は、目覚めた時が新しい朝の始まり!おやすみバンディエル!召喚解除!」
「おまっ…!!」
はい。おやすみなさい…。
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