第27話 ダンジョン探索

「ふ〜〜ん。ダンジョンって洞窟と変わらないのね。………あ、でも洞窟の割に真っ暗じゃない。」

「そりゃ、ダンジョンだからな。ほら、お出でだぞ!因みに、あのデカイ蝙蝠は人の生き血が好物!取り付かれたら、最後の一滴まで吸い尽くされるぞ?」

「嘘でしょ?!やめてよ!しかも大群じゃないの!」

「がんばれぇーーーーー。」


 そんな呑気な声援を貰ったって嬉しくないわよ!

 迫りくる蝙蝠は、30匹以上は確実にいる!

 私を目指してまっしぐら!嬉しくないし、普通に怖いわよ!


 暫し逡巡し、攻撃方法を決めた!


「行くわよ!機関銃!!」


 私のイメージしたのは、ラ○ボーが右手に機関銃を抱え、撃ちまくっていたあのシーン。


 弾は私の魔力。


 機関銃と違って射出音は出ないはずなのに、私がそこまで再現してしまったのか、ダンジョン内に銃撃音が響き渡った。


「うるせぇーーーーーーーー!!!!バカ女!!!」

「もうちょっと!あ!全部倒せたわ!!」


 良かった……。弾切れ(魔力切れ)になる前に倒せた。

 そして倒した後は、バンディエルが言ってた通り、蝙蝠達の死体は無く魔石が辺りに転がっていた。


「……38個!猛禽類みたいに大きい蝙蝠が38匹も!!入って早々、これじゃあ先に進むのが怖い!」

「でも、レベルは上がったんじゃねぇの?」


 バンディエルに言われ、レベルを確認してみると…


左山葉子(38歳)


レベル19


体力 194/194

魔力 217/217


魔術 イメージクリエイション



属魔 バンディエル



「上がってる!!2レベルも!!」

「だろ〜〜?魔力切れと不意打ちと罠に注意すれば、ダンジョンチョロいぞ!!」

「………は?!どこがチョロいのよ?!罠なんてあるの?!聞いてないわ!!」

「あるぞ〜〜。探し方を教えてやる。ただ、こんな浅い所には無いんだ。普通は。」


 魔石はバンディエルに渡し、再びゆっくりと進む。

 また、行き成り猛禽大の蝙蝠群に突撃されるのは勘弁してもらいたいわ。


「あ……分かれ道。」


 何も出ないまま暫く進むと、道が二岐に別れていた。う〜〜ん。とりあえず右に行こう。


 ……………本当に何も出ない。最初の蝙蝠で出尽くしたって事は無いわよね?

 何も起こらず、肩透かしを食らった気分で歩いていると、通路が開けてドーム状の大きな部屋へと繋がっていた。


「…………嫌な予感しかしないわ。これだけの広間に何も無いなんて事……ある訳ないわよ!」

「そうだろうなぁ。」


 空間の中央には、台座に乗った箱が1つ。罠の匂いがプンプンしてる!試しに持っていた大きめの石を箱目掛けて投げてみよう!


「ギャーッ!」


 石が箱に当たる寸前で、変な鳴き声と共に蓋が開き、私が投げた石を飲み込んだ。


「な、何あれ?蓋が勝手に開いた……。」

「ミミックだな。」

「ミミック………。箱の模倣をしてる魔物って事?」

「そうだ。因みに、ただの箱じゃなくて“宝箱”な?」

「あれが宝箱?!宝箱に擬態するなんてひどい!絶対に開けに行くじゃない!」

「それがヤツの狙いだからなぁ。」


 そんな姑息な魔物はさっさと倒そう!まったく、人の欲望を餌に使うなんて、とんでもない魔物もいるのね!


「問答無用で行くわよ!成敗!!」


 他に罠は無いってバンディエルに教えてもらったので、近付いて暴れん坊な将軍の一太刀をイメージし、一刀両断よ!


 ミミックはその太刀を受けると、さっきと同じ様な叫び声を上げて消えていった。

 そして台座の上で、魔石とブーツの様な物に変わった。


「魔石はともかく、あのブーツはなに?」

「魔物のドロップだよ。ミミックは宝箱を擬態した魔物だから、ああいった物が出たんだろうよ。通常は、その魔物の一部がドロップされる場合がほとんどだからな。」

「ふ〜ん。そうなのね。今のもブカブカだけど、ブーツも合わなそうね。履物って難しいわ…。」

「はは!そうかな?とりあえず履いてみろよ。」


 バンディエルに魔石を渡して、私はドロップされたブーツに履き替えた。


「……やっぱり大きく……無くなった?!ええ?!サイズが変わったわ!!ピッタリよ!!」

「良かったな。たぶん、マジックブーツだぞそれ。」

「……嬉しい。歩きやすい!」


  追い剝ぎした履物から、ドロップ品のブーツに履き替え、試しに歩いてみる。

 本当に歩きやすくて助かるわ!あとは、着替えも出たら言う事なしね!

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