第21話 朝ごはんは様々

「はぁ〜〜わ〜〜〜〜〜!!良く寝た!本当〜に良く寝たーーー!!超スッキリよ!」


やっぱり睡眠は大事ね!前の仕事をしている時は、不眠症気味だったから良く分かるわ!


しかも今日は、棺ベッドの周りにも異変は無いし、誰かが探った様子も無い!


「お腹が減った!…そう言えば、以前は朝ご飯を食べれなかったな…。お腹が減るって事が少なかったのよね。エナジー(ドリンク)が減る方は、もの凄く感じたけど。」


そう考えると、不穏な社会ではあるけど、生活面ではマシなのかしら?

山歩き?トレッキング?の様な、適度な運動もしてるし!!


それに、不条理に晒されても、その場で仕返ししてるから、結果としてストレスは溜まっていない。


物は考えようね…。

どちらにしても、元に戻る術が無いんだから、今ここでの生活を安定、充実させる事に専念しよう!


「先ずは、朝ごはん〜〜♪昨日の〜鹿肉を〜細切り!野菜も〜千切り!で、炒めれば〜素材の味を生かした、塩味のみの肉野菜炒め!完成!!ご飯が欲しいね!」


さあ、頂こう!と思った時に、ふと思い出してしまった。

………バンディエルってご飯食べるのかしら…?


う〜〜〜ん…。呼ぶのはいいのよ。

ただ、出て来て早々にあの悪態を付かれると、本当に嫌になるんだよね。


悩むな〜。どうしようかな〜。

せっかくの爽やかな朝が、台無しになりかねないしな…。


よし!呼ばない!

ご飯を食べて落ち着いてからにしよう。

バンディエルもご飯を食べるなら、直ぐに作れるしね!


「いただきまーす!!」


ん〜〜!この空芯菜もどきの葉っぱ美味しい!!

エグ味も無いし、柔らかいじゃない!


「ふふ〜!後で魔術を試してみよ〜!」


私の魔術『イメージクリエイション』。

名前のままの能力があるなら、私のイメージ次第で如何様にも使えるはず!


一番初めに使った時、直前で目にしたのが水まんじゅうだったから、そのサイズで水が現れた。

今は、ちゃんとコップ一杯分の水が出せるし!


ならば出来るはず!

フリーズドライが!


採れる時に取らないと、葉っぱ類は。

そして、採って洗い素早くフリーズドライ!

水、またはお湯で戻せば、いつでもお野菜最高です!


イメージするとしたら、液体窒素に入れてパリパリになるやつだけど、確かマイナス196度なのよね。

でも、流石にそこまでの低温はいらない。


次は急速冷凍かしら?

それでもマイナス30度。

以前、冬の北海道にカニ食べ放題の日帰り弾丸ツアーへ行った時、2月でマイナス20度くらいの寒さだった。

あの時の、しばれる感じを思い出せば行けそうね!


「ごちそうさま〜!朝ごはんにしては、しっかりメニューだったわね!でも、食べられるのは良い事よ!これから動くし!」


じゃあ、若干不安だけど、呼んでみましょうか!


「バンディエル。」

「……………。」

「あら、静かじゃない。初めからそうして欲しかったわ。」

「お前が……!!」

「何よ?文句があるなら後で聞くわ。私は少なくとも、普通に会話が出来るならこんなことは言わない。あなたはどう?初対面の人にグズでノロマで役立たずと言われて相手をするのかしら?」

「それは……悪かったよ。だけど!普通は魔術が発動したらすぐに属魔を呼ぶだろが?!」


やだ。コイツに“普通”を語られてしまった。

それって、ここでの普通よね?

だったら、知るわけ無いじゃない。

………あ。でも、お互いそこからか…。


「まず、最初に言っておくわ。私、多分この世界の人間じゃない。」

「はあ?!」

「気づいたら、見知らぬ洞窟にいて彷徨って今ここよ。」

「洞窟??」

「そう。何も無い洞窟だったわ。デカ蜘蛛と水まんじゅうはいたけど。」


その時拾った石をバンディエルに見せた。

これ位しか証明出来る物が無いからね。


「魔石!!くれ!!俺にくれ!!腹減ってたんだ!」


バンディエルのご飯は魔石ですよと…。

それなら、これからは嫌がらずに魔石を取らないとね。


「はい。どうぞ。」


魔石をバンディエルに渡すと、手に握って魔石を砕いてしまった。

それが魔石の正しい食べ方?なのかしら?

砕かれた魔石からキラキラした粒子が出て、バンディエルに吸収されていく。


「……………ふううううー!!久しぶりのメシ!」

「…あなた、お腹が減ってたから、あんなに酷い口調だったの?」

「あ?いつも、通りだぞ?」

「……………。」


どうやら、バンディエルとは、ちゃんとお話が必要なようね。

少なくとも、クソババアは二度と口にさせないわよ!


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