第16話 ロクデナシとの出会い パート2
「私は〜何処へ〜行くんだろ〜?」
景気付けにちょっとだけ歌ってみた。
1人でハイキングなんてしたこと無いし、ましてや山ガールでもないし、勿論ソロキャンもしません。
私は達成感だけでは山には登らないな〜。
何かしらのご褒美がないと。
キャンプも1人じゃ怖くて無理だよ。
そして、歩きながら魔術で出来る事が他にも無いか、ちょっとずつ試してる。
「いでよ!お醤油ー!!」
………………。はい。出ません。
「出てこい!マヨネーーーーズ!!」
くっ!魔術っぽく伸ばして言ってみたのに!!
「お塩カモン!」
ボトッ!と白い石が出て来て落ちた……。
え??……塩は?…………あ!!まさか岩塩?!
足元に落ちた塊を慌てて拾い、手で払って少しだけ舐めてみる。
しょっぺーーー!!!塩だ!!塩だよ!!!
「やったーー!!本当に嬉しい〜〜!!お塩!」
途中で見つけたバジルと一緒にお昼ご飯は、ちゃんと塩味のご飯にしよう!
もしかして、加工品じゃない調味料なら他にも出るかもしれない!
色々試したいけど、いざと言う時に攻撃の魔術が出ないと困るから、後は夜に試そう!
「……あ。」
何かいる……。
私のカンがそう告げている。
この強制サバイバルから3日経過して、危機察知能力が向上した気がするんだ。
葉擦れの音がする方へ集中…。
……大きい体躯………馬?
あれ?でも尻尾がない…。
あ、頭を上げ……角?!
馬に角?!
「……馬じゃないし。鹿まで大きいよ……………。」
何の養分を摂取したら、そこまで大きく育つのよ!
でも鹿か……。食べた事はないけど、赤身肉だってのは知ってる。
更に塩も手に入った。
石焼きステーキとか?
…………うん。食べよう!じゃなくて、倒そう!
ふふふふ〜。
新技を使う時が、早くも来たわね!
練習しておいて良かった!!
木の根攻撃も悪く無かったと思うけど、スッパリ切るイメージで思い出したのが、ウォータージェット。
試してみたら石でも切れていたから、当たれば討伐出来ると思うの!
「頑張ろう!それに鹿の皮ならカバンとか服にも使えそうだし!」
それに昨日の猪よりは小さく、馬だとでも思えば、現実的な大きさだ。
「さあ行くよ!当たって!ウォータージェット!」
魔術を唱え、様子を見る。
………あれ?外した?
馬サイズの鹿は倒れもせず、かと言って動きもせず、その場で立っている。
もう一回魔術を……そう思って狙いを付けていたら、フイに鹿の首が無くなった。
「…え??あれ??」
ゆっくり近付いてみても、鹿の本体は倒れず、首だけがその足元に落ちていた。
「……体幹が凄いのかしら…?死んでも??」
鹿の身体に触れ、少し押してみた。
すると、鹿の身体は、押された方向へ呆気ない程そのまま倒れていった。
「あ…!鹿って確か、マダニとかが身体に付いてるんだった!!浄化!!虫排除!!」
野生の動物は特に注意だね!
それ以前かもしれないけど…。
でも、良かった!!
今度こそ肉獲ったどーーー!!
「大きいなぁ〜。先ずは血抜きして……」
「おい!!そこの女!!俺たちの獲物にさわるんじゃねぇよ!!!」
いきなり背後から、大声で怒鳴られ、思わずビクっと反応してしまった。
え?何…この人達。
私を囲む様に男たちが5人もいた。
「聞こえなかったのか?!俺たちの獲物からさっさと離れろ!!」
「……これは私の獲物よ。あなた達の方こそさっさとこの場を失せなさい!!」
………そうだった。
ここは弱肉強食の世界なんだ。引いたら負け…。
5人の男たちとの距離はまだある。
弓が2人……。
剣が2人、手斧が1人。
「威勢は良いが、愚かだな…。引けば見逃してやったものを。」
「見逃してやる?はっ!!いったい何様かしら?威勢だけは良いわね!!」
私がそう言い返すと、話し掛けて来た男の表情に怒りが滲んだ。
無言のまま右手を上げ、何かの合図をする。
すると、視界にいた弓持ちの2人が、合図と共に構え、直ぐ様矢を放って来た。
「岩の壁、ウォータージェット!」
弓矢の方向へ岩の壁を出し、それと共に弓持ちにウォータージェットを放つ。
放たれた弓は、私の頭の位置を正確に捉え、壁に刺さる。
やっぱり殺す気だったのね…。
まあ、私もだけど…。
ウォータージェットは弓持ち2人を両断し、そのまま上半身と泣き別れ。
「……人の獲物を横取り。狩りもろくに出来ない男はやる事がセコいわね〜。」
「なっ!」
「さようなら…。あなた達に用はないの。」
「ま、待て……」
待っても結果は変わらないわ。
本当、この世界の男はろくでなし率が高過ぎると思うの!
しかも、不衛生な臭い!!
私の風上に立つな!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます