第14話 猪討伐!からの消失…

 そう言えば、既に精肉された猪なら、見て、食べた事があったけど、リアルで猪を見たのは初めてだった……。

だけど、猪ってこんなに大きかった?!

これだけの距離を取ってるのに、既に私の知ってる猪のサイズを超えている…。


あ…………。ウサギもだった。蜘蛛もだ!!

しかもウサギは角が生えてたし。


あのサイズの動物を、石を投げて倒すなんて絶対に無理。

魔術がさっきみたいに上手く行けば、多分、恐らく、倒せるはずだけど保険が欲しい…。


やっぱりベストは、気付かれる前に仕留める事よね。

下手に怒らせて暴れ回ったりされたら、とんでもない事になりそうだし。


更に近くへ行き、様子を伺う。

フゴフゴと鼻を鳴らして、何かを食べてる?

うわ〜…。近くで見ると迫力が増すわね…。


何だっけ………工事業者さんがよく乗ってた車…。

あっ!ハイエ○ス!!


あれくらいの大きさって事は、車長…じゃなくて全長5m、幅は車より少し大きい2.5mって所かしら…。

やだ……それって、駐車場の枠と同じ大きさじゃない!!


それに牙……。

うさぎの角が可愛く見えてくる、恐ろしい長さと太さ。まさに凶器。

猪突猛進の言葉通りに突っ込んで来たら、ここの辺りにある木は、なぎ倒されてしまいそう。


そうなると、木の上にいるのは望ましく無いわね。

いざという時に逃げられないし。


魔術の飛距離?は、少なくとも100mはあったから……距離を取って試してみよう。


狙うのは頭の付近。食事中に申し訳ないけど、口から貫くイメージで攻撃したい。

心臓の場所が分からないし、胴体は皮と脂肪が厚いんじゃないかと思う。


保険は水まんじゅう。

窒息狙いで、水で頭を覆ってしまえば、生き物なら死ぬわよね?

始末の悪そうな内臓は、出来れば傷付けずに魔術で綺麗に抜きたい。


さあ、気合入れて行くわよ!

セルフで気合を入れて、お食事継続中の猪に向け、魔術を放つ。


イメージしたのは、木の根。

細く、太く、そして鋭利に固く。


すると、木の根が地面から逆向きに生えて来た様に、猪目掛けて伸びて行った。

初撃は良し!

追撃の水まんじゅう、スタンバイ!


「……あ、れ?」


用意した水まんじゅうを浮かべたまま、間抜けな声が漏れた。

……猪、倒れちゃった。


さっきの一撃で倒せたの?

恐る恐る、確認出来る位置まで近寄る。


なんせこっちは、防御力0のフリース素材のパジャマですからね!

どんな攻撃だって容易く貫通するんだから!


横たわった猪は、動く気配が無く、倒せた様に見える。

猪って、死んだ振りとかしないわよね…?


もう、フゴフゴも聞こえない…。

倒せたっぽい…。けど、思ったより呆気なかった。


……いや!これで、いいんだよ。

だって向かって来られたら、きっと怖くて焦ったと思うから。


「……よし!やった!」


でも、その横たわった大きさに、暫し途方に暮れた。


「ハイエ○ス……大き過ぎて、食べ切れないし、けど残すの勿体ない。もうすぐ完全に陽が沈むから、夜行性の動物の餌になっちゃう。………待って!それって、私もじゃない?!」


一夜明かした洞窟は、もう戻れる距離ではない。

お腹も減ってるけど、寝る場所って言うか、安全な場所を探さなきゃ!


「ああ…。せっかく獲ったのに……。どっかに隠して置けたらいいのになぁ。」


未練たらしく、猪をペチペチ叩いていた時、フッと、その巨大が一瞬で消えてしまった…。


「!えっ?!!どうして?!!私のジビエが消えた!」

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