第75話



「澪奈のロングソードを400万ゴールドのロングソードに変えようか」

「ハンドガンとロングソードで、速度は200超える?」

「ああ。それで、俺が【鼓舞】を使えば、どうにかなると思う」

「あとは、火力が足りるかどうか……」

「そうだな」


 それでも、澪奈の装備を整えたほうが総合的に強くなるとは思う。

 何より、今後しばらくは澪奈の装備の入れ替えも重要ではなくなってくるだろうしな。

 それで20万ゴールドほど残るので、回復玉を購入すればいいだろう。


「分かった。私がメインで戦う」

「ああ。任せる」


 そっちのほうがこのチャンネルらしさもあるからな。

 澪奈の装備を整え、改めてステータスを確認する。


 神崎澪奈(かんざきれいな) レベル38 筋力:146 体力:24 速度:224 魔法力:28 器用:109 精神:16 運:16

 ステータスポイント:0

 スキル:【氷魔法:ランク3】【剣術:ランク5】【銃術:ランク5】

 装備:【ロングソード 筋力+9 速度+9】【ハンドガン 速度+9 器用+9】【ロングソード 筋力+27 速度+27】【ハンドガン 速度+27 器用+27】


 装備合計:筋力+36 速度+63 器用+36


 ……かなりの数値になった。

 これで、あとは澪奈に【鼓舞】を使用すれば、キングワーウルフにも負けないステータスとなるだろう。

 ただ、俺も澪奈もどちらも打たれ弱い。一度キングワーウルフと対面していてわかるが、防御しても致命傷になりかねないので、その点だけ注意が必要だ。


「……やってみるか?」

「うん。生放送でみんなに見せよう」

「……了解」


 インベントリに入れてあった三脚を取り出し、俺たちは入口から移動していった。




 澪奈がTwotterで告知をして、生放送の予約を開始する。

 ……まだ開始していないというのに待機者で溢れている。

 その数は、50000人だ。先ほどの生放送にいた人たちが残ってくれていたのかもしれない。

 それからすぐに生放送を開始する。

 場所は荒地エリアと草原エリアの間だ。

 俺が澪奈にカメラを向けると、澪奈はひらひらと手を振った。


「こんばんはー、皆さん。今日は不幸なマネージャーを助けるために、これからボス討伐に向かう予定です」

〈本気で言っているんですか!? 相手、Bランク級の魔物ですよ!?〉

〈……さすがに、応援を待ったほうがいいと思う。普通に危険だから〉

「一応、どうにかなりそうだと思ってから生放送は開始しているから安心して。ただ、さすがにカメラ持ちながらは無理だから、このあたりから全体が写せるようにカメラを設置します。もう一つ、少し近距離の位置にカメラを置いて、あとで動画で出すかもって感じ」

〈安心してって……戦ってみたのか?〉

〈え、マジで? 二人で安全ってホントか……?〉

〈……さすがにのんきすぎないか?〉


 俺と澪奈で二つのスマホを設置していると、そんなコメントが流れている。

 ……まあ、普通ならば相手とこちらの力量差が分からないのだから、不安はあるだろう。

 ただ、俺には相手のステータスを見る力がある。

 敵の手の内はもちろん分かるし、能力差もはっきりとしている。


 ……だから、あとはこちらが戦闘に集中し続ければ問題ない。

 カメラを二つ設置したところで、生放送中のスマホへ澪奈が顔を向ける。


「それじゃあ、これから二人でキングワーウルフに挑もうと思うので、皆さん応援よろしくお願いします」

「……危険になったらスマホ放置して逃げる可能性もあるので、あらかじめご了承ください」


 俺たちはそう言って草原エリア内の中央へ向かって歩いていく。

 ……そして、やつは現れた。

 空から落ちてきたのはキングワーウルフだ。

 地面に着地すると、周囲を揺らすほどの衝撃が足元を襲う。

 すぐに澪奈が剣とハンドガンを構え、俺も拳を構える。


「マネージャー、私が基本は攻めるから。マネージャーは隙見て攻撃で」

「……ああ、分かった」


 俺はすぐに澪奈へ【鼓舞】を使用し、澪奈が駆け出す。

 ……今回の役割をゲーム的に言うなら、澪奈がタンク兼アタッカーで、俺がサポート兼アタッカーだ。基本的には澪奈が対面で戦い、キングワーウルフが隙を見せたところで俺がダメージを与えるという感じだ。


 澪奈が銃弾を放ちながら距離を詰め、剣を振りぬく。澪奈の一閃はキングワーウルフの腕を浅くではあるが斬った。

 ただ、キングワーウルフはその程度ではひるまない。


「ガアアア!」


 咆哮とともにタックルをかましてくる。

 その攻撃を、澪奈は回るようなバックステップでかわしながらハンドガンを放つ。

 ……逃げながらもかわせるのは強いな。キングワーウルフが完全に澪奈に注目していたので、俺は一気に側面へと距離を詰め、拳を振り上げた。



―――――――――――

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