第43話
【鑑定】で分かるのは、スキルと良くて装備のランクくらいだろうか?
例えば、ランクごとにおおよその買取価格が決まっているとしたら今の即答も分かる。
ってことは、装備品によってはゴールドよりも現実のほうが安く買える可能性はあるな?
……スキルがついていなく、ランクは低いがステータス上昇量は多い装備品。
そういったものを見つけられれば、掘り出し物となる。
アクセサリーとかはどのように判定しているのだろうか?
アクセサリーに斬れ味といった概念はない。防具のような頑丈さもないだろう。
それでいて、謎にランクが高い装備品などは……どのような扱いを受けるのか。
そう思い、アクセサリー売り場をのぞいてみる。
……雑にまとめられているところから、装飾品の人気の低さが伺える。
値段は高くても10万円か。
思っていたよりも、安いな。
アクセサリーに関してはただの装飾品として扱われているようだ。
そもそも、あまり良いものは置かれていないな。
ネットで調べてみると、迷宮の装備品でもアクセサリー系はことごとく低評価だ。
ドロップ品の中では一番のハズレ扱いだ。スキルがついている場合は、まだ評価も変わるようだが……。
確かにスキル付きに関してはその時点で値段が跳ね上がっているな。
同じ程度の性能のアクセサリーでも、スキル付きの場合100万を超えてくる。
おまけに、あまり優秀そうではないスキルでもだ。
ただ、ショップで購入できる20万ゴールド程度の品が3万円とかで売られているのを見ると、ちょっと悔しい思いがある。
この店に置かれているアクセサリーはそれくらいしかない。
俺は手に持ったアクセサリーを、ショップの売却へと移動させてみる。
すると、値段が表示される。
金額は……10万ゴールドだ。
やはり、【鑑定】ではアクセサリーについている追加効果などはまったく評価されていないな。
このまま売却すれば、泥棒できてしまうが、さすがにそんな行動をするつもりはない。
監視カメラもたくさんあるため、まず完全犯罪は難しいだろうし、
きちんとお店で購入し、ゴールドに変換していくつもりだ。
これで分かったことは【鑑定】はそこまで高性能ではないということだな。
そして……。
今までに使っていたお金がもったいなかったということでもある。
二百万近く使って装備品を集めたが、別に店で買えばよかっただけじゃないか。
ショップって便利ーなんて思っていたけど、確かに便利だけどもっと効率よく使う方法があったようだ。
澪奈のように武器によってステータスが跳ね上がる場合はともかく、アクセサリーでとりあえずステータスを補っている俺なんかはこっちで良かったよ……。
とりあえず、今の手持ちのお金で高還元のアクセサリーを購入してから、ギルドへ向かう。
確認したいことはもう一つある。
ワーウルフの魔石、素材の売却価格だ。
俺はカバンにワーウルフの魔石と素材を入れてからギルドの素材買取のレジへと向かう。
目的の品を一つずつ渡すと、店員がすぐに調べてくれる。
「こちらの魔石が保有している魔力量であれば、80円ほどになりますね。こちらの素材はワーウルフの爪ですね。武器の素材に使えますので50円になりますね」
「そうですか。もっとたくさんあるんですけど全部買い取ってもらえますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
にこりと笑顔で答えた受付に、俺はカバンの中から素材を取り出していく。
もちろんこれも、インベントリから取り出している。
……まあ、土曜日、日曜日と大量に稼いでいたからな。余裕で100を超える素材があるだろう。
ワーウルフのドロップ素材は爪と牙があり、牙のほうがレアなようだ。
そちらは80円ほどで売れるが、需要と供給というのもあるそうなので、今の素材の値段はそのくらいなのだそうだ。
「ここまでは80ゴールドで買いとれますが、これ以降は数が増えてきたので60ゴールドになりますね」
「分かりました。とりあえずその金額でお願いします」
素材に関しては大量にあっても困るということもあるようなので、こうして金額が落ちて行ってしまうわけだ。
そして、鑑定の結果が終わり女性が金額を伝えてくる。
「合計で23万4320円になりますね。こちらで買取でよろしいでしょうか?」
「……そうですか。すべて売却でお願いします」
「かしこまりました。収入の分配などはどうされますか? 同じパーティーの方の冒険者カードなどあれば、パーティーの方々の人数で割ることとかもできますが……」
そういえば、冒険者カードでお金の管理をしているため、パーティーを組んでいる場合はここで分配したほうがいいのだろう。
そうでないと、あとで税金の処理をする際にひと手間増えることになる。
ただ、俺の場合澪奈と二人だからな。澪奈からは全部自由に使っていいといわれているので、俺の収入でいいだろう。
「大丈夫です、ソロで活動しているので」
「え? そ、ソロですか……?」
「はい。ですので、換金についてお願いします」
「か、かしこまりました」
職員からすれば俺の冒険者ランクを確認できるのだから、疑問が残っているようだ。
それでも、深く聞くことは職員としてもできないので、俺がいいと言えばそれまでだ。
手に入れたお金とおろしてきたお金を手に、俺は近場の装備品をかたっぱしから漁っていってゴールドに変換した。
―――――――――
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
楽しんでいただけた方は☆☆☆やブクマをしていただけると励みになりますので、よろしくお願いいたします!
※☆は目次やこのページ下部の「☆で称える」から行ってください!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます