第17話 サクラ舞う

いきなり狂暴な恐竜を押し付けられて僕は樹海の中を逃げた。


「とにかく逃げないと。冗談じゃないっ」


「気をつけなさい。隆起。ソイツあなたを餌だと認識したみたい」


「げええええええ」


恐竜はなぜか僕だけを執拗に襲ってくる。


バキバキと木が倒れまくっている。ハンマーみたいな頭を持った4メートルのヤツだけど、怖い。


「・・・こっちに逃げるべき・・・」


双剣使いの玉石さんが僕を逃がして、恐竜からかばってくれた。


「アッハハッ。つまんねえぞーー。戦えやッ」


けど、Sクラスの寒月サクラが槍で僕の方に恐竜を押し付けてくる。


なにやってくれんの? この人!?



なんか知らないけど、戦わないとまずい感じ。


ルルナは距離を置いて大きな木の陰に隠れて僕に声援を送り始めた。


「がんばれっ。なんとかなるわーーーー!!!」


ひえっ。やばい。絶対絶命なんですけど。恐竜が僕にかぶりついて来る。


僕は慌てて、図書館検索を選んだ。


なにか戦わなきゃならない感じだッ


それなら、敵の弱点を見ぬかなきゃ。ただ、コイツ強いらしいけど。


名前わかんないッ




恐竜で図書館検索!


1万くらいの候補が選ばれる。


逃げながら、僕は考える。コイツ、なんて名前だよっ


またかぶりついて来た。ハンマーみたいな頭を振り回してくるッ


「ぎゃああぼおおおおっ」


そうだ! ハンマーだ。ハンマーで図書館検索ッ


該当12件。その中から一番強い敵を図書館検索する。


やった。見つけた。コイツの名前はグローリアハンマラス。


アフリカで討伐事例があるヤツだ。足の付け根に芯核という弱点があるらしいッ。


そこを攻撃すると激痛でのたうち廻って、倒せるらしいッ


「・・・大丈夫? 隆起・・・気をつけて・・・」


今、喰われそうになった僕を玉石さんがかばって逃がしてくれた。ひぇええ




逃げるだけじゃダメだッ。戦わないとッ


僕は逃げながら、ハンマラスの足の付け根を狙って、ひいこらしながら攻撃を仕掛ける。


僕が買った鋼の剣ッ。僕を助けてッ


何度も喰われそうになるたびに、玉石さんがハンマラスの邪魔をして僕を助けてくれる


ただ、寒月サクラはときどきそれを邪魔するんだっ、


「アッハハーー。男なら一人で戦え。おらあああ。私も満足させなぁあああ」


ひぃいい。今食われそうになったッ


ただ、ハンマーを振ったハンマラスの頭がそのとき地面にめり込んだッ


僕は走り込んで行って、ハンマラスの足の付け根の芯核に攻撃を仕掛けるッ


「くらえええええええええっ」


やったッ





「ぎゃっ!!! ギャッ!! ぐばっ!!! ぎゃぼらああッ」


ただ、そこからが大変だったんだ。激痛に苦しむハンマラスが、ムチャクチャに暴れて、メチャクチャそこら中ぶっこわしながら暴れまわるッ


ひいぇえええええ


近づけないっ。


だが、そこで寒月サクラが動いたんだ。すごく細くて長い長槍を思い切り、ハンマラスにぶぉんとぶち当てた。


サクラ舞う。


「おおおぉおらあああ。まあ、楽しかったぜええええ。くたばんなあああああ」


ゴトンと倒されるハンマラス。


ピクピク行ってるソイツ。


「止めはあんたが刺しなぁあああ。ご褒美だよ。ぼうやぁあああ」


そこで、僕はハンマラスの目にまた剣を差し込んでそこから脳みそに穴を開けて、ハンマラスを倒したんだ。


「やったわねっ。隆起。おめでとうッ」


ルルナが駆け寄ってきて僕を抱きしめる。


「はははは」


僕は笑った。


そのときの動画はルルナが撮影していて、またしても、衝撃画像で、僕はバズった。


またバズだ。

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