王との謁見をするらしい

「セッカ様。この大陸一の国…エルリンドの王都へようこそ。


早速冒険者ギルドへ案内…と言いたいところなのですがまずはお父様…この国の国王に会ってもらいます。


私が盗賊に襲われたこと…それをセッカ様に助けていただいたことをご報告しなければなりません。」


「それはもちろんいいけど…私、王様に会うような服持ってないよ?」


今の服装はこの世界に来る前まで来てた服のままだし。


そんなもの買うお金は今手元にないし。


「その心配の必要はありません。全てフレイローズ家で用意しますので。


代金も必要ありません。


私の命の恩人様ですもの。」


「それならいいのかな…?」


「ええ。では早速参りましょう!」


私はそのままローレスに引っ張られて王城へ向かうことになった。


「ほええ…これが王城…おっきいなぁ…」


ローレスに引っ張られて王城前までたどり着くとそこには大きな城が聳え建っていた。


まぁ王城なんだから城が建ってて当たり前なんだけど…。


「こちらですよ。セッカ様。」


「お帰りなさいませ!ローレス様!」


「ええ。」


「そちらの方は…?」


「私のご友人です。ご無礼のないようにしなさい。」


「はっ!」


「では参りましょうかセッカ様。」


「うん…。」


なんというかローレスってほんとにお嬢様なんだな~って思った。


怪我でもさせたら王家の力で消されそう…。


「…?どうかしましたか?」


「いや。何でもないよ。」


「では改めまして。


着替える場所に案内するので付いてきてください。」


ローレスに言われるがままに付いていく。


「ここですよ。どうぞ入ってください。」


通されたのはドレスがたくさん置かれた部屋だった。


ドレスメイクルームといったところかな?


「集合」


そう言ってローレスが手を叩くと私たちの周りにたくさんのメイドさんが集まってきた。


「この人たちは…」


「フレイローズ家のメイド隊です。これからセッカ様の着替えのお手伝いをさせていただきます。」


「着替えは一人で出来ますけど…?」


「セッカ様を最高のプリンセスにするために尽力いたします。」


「話聞いてます…?」


「では」


「ちょっとまっ…」


メイド隊は私を抱えたままカーテンの裏へと入っていった。


「行ってらっしゃいませ~」


数時間後…


「酷い目に会った…」


まさか身ぐるみを剥がされた上に着せ替え人形にさせられるなんて…


途中からメイドさんたち楽しんでたし…。


最終的になんかすごい格好にさせられたし。


なんかマナー講座までさせられたし。


「とってもお似合いです。セッカ様。」


「自分ではよく分からないんだけど…まぁローレスがそう言ってくれて良かったよ。」


「では参りましょうか。お父様…国王の元へ。」


「うん。」


私はローレスに連れられて王の間の前まで来る。


「私は姫としてセッカ様を迎えるのでここでお別れです。」


「案内ありがとう。またね。」


そう言ってローレスは戻っていった。


まぁこの先ですぐ会うんだけどね…。


「準備はよろしいですか?」


ローレスが去って行った後さっき私を着替えさせたメイドさんの一人が話しかけてきた。


「うん。問題ないよ。」


「あ、あと王様の前ではその喋り方はやめてくださいね。


首が飛びますよ。」


「分かって…ますよ。」


「…ならいいですけど。」


「じゃあ行くね。」


私は大きな扉を開いて部屋の中へと入る。


中にはなんか堅苦しそうなおじさんたちがたくさんいて奥の方に


王冠を被ったおじさんとその横にローレスとローレス似の美人のお姉さんがいる。


恐らくあの王冠を被ったおじさんが王様でローレス似の美人さんがお妃さまかな。


とりあえず私は王様の前まで行って片膝を地面につける。


「そなたがセッカ殿か。顔を上げよ。」


「はっ」


「まずは我が娘ローレスの命を助けてくれたこと感謝する。」


「私は偶然通りかかっただけなので感謝されるようなことではありませんよ」


「しかし兵士は全滅し、危機的状況だったと聞いている。


そなたがいなければ娘は確実に死んでいただろう。


最大限感謝してもしきれないくらいだ。」


「私からもお礼を言わせて下さい。娘を助けていただきありがとうございました。」


「私からも改めてありがとうございました。セッカ様。」


「礼として何でも好きな物を用意しよう。何を望む?金か?男か?地位か?」


「お礼なんていりませんよ…」


私がそう言うと周りがざわざわとし始める。


もしかしてまずいこと言っちゃったかな…?


王様からのお礼をいらないとか…流石に無礼すぎた?


「それでは王家としての示しがつかない。なにかないか?」


「なら…食材をお願いします。ここら辺の食材を研究してみたいので。」


「ならばここらで手に入るありとあらゆる食材を用意しよう。他には?」


「他…ですか?」


「それだけでは礼にはならんだろう?」


「あとは…あ、宿代。宿代だけもらえれば後はいりません。」


「そうか…。わかった。では屋敷を用意させよう。」


「…ん?」


何もわかってない言葉が返ってきたような気がする。


…屋敷?なんで?


「失礼ですが国王様。私は招待されたローレス姫の誕生日パーティーが終わり次第


この国を旅立つ予定です。


屋敷を貰っても困ります。」


「屋敷をこの国での拠点にするといい。


その屋敷はそなたのものだ。好きに使ってくれ。」


「ええ…」


この王様何が何でも屋敷を渡したいみたい…。


「分かりました。お受け取りします。」


「うむ。謁見はこれにて終了だ。」


「ありがとうございました。」


そう言って私は王の間を後にした。












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のんびり異世界転生記 ゆゆ @deko5353

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