第22話「気難しい語り手」

表情の暗い白髪の青年はゆっくりと立ち上がると、RyuRyu-Cの方を向いて深く頭を下げる。


「先程の無礼な態度、お詫び申し上げます。すみませんでした。」


 キョンは目を丸くした。同様にRyuRyu-Cも目を丸くしていた。


「ど、どうしたんだよウバイド!何があったの?」


 RyuRyu-Cは口角をゆっくりと緩ませる。


「…この短時間で謝罪にまで至るのは、馬鹿な人間のできることじゃないよ。」


 RyuRyu-Cの口元にはほんのりと笑みが浮かび始めていた。キョンはどういった状況なのか上手く理解できていないのだろう、交互にRyuRyu-Cとウバイドの顔を見ては、眉を顰めるのだった。


「ねえねえ、何があったの!?何があったの!?」


「うるさいね。アンタには関係のない話だよ。ウバイド、君の謝罪、受け入れることにする。」


「…ありがとうございます。」


ウバイドはもう一度、深々と頭を下げる。彼女は口は悪いものの、決して人を侮辱することだけを目的に発言している訳ではきっとない。冷静な頭になって彼はもう一度、自分の相談したい事柄を語り始めた。


「…もう一度相談を始めからやり直させてください。」


「いいよ。」


RyuRyu-Cは再びさびた椅子に腰かけ、メモを取ろうとペンを拾い上げた。


「私の目撃した嵐は、一体何なのですか。」


「はぁ…私の忠告を聞いてもなお興味があるようね。」


RyuRyu-Cの表情は依然として冷たい。


「はい。私の目撃した嵐とその中にいた少年について、少しでも知識をつけたいのです。」


「…アンタが危険に晒されようが、アタシは知らないからね」


RyuRyu-Cは顎に手を当てると、目を瞑って考え始めた。そして数秒後、その大きくドギツい紫の視線をレーザーのようにウバイドの眉間に照射する。


「…分かった。教えてあげるよ、私が持ちうる情報。この情報は私の個人的な考察であるから、真に受けない方がいいかもしれないけれど。」


「え!なになに、よくわかんねーけど面白そう!」


 ウバイドとRyuRyu-Cは互いに信憑な顔つきだった。キョンは地面に三角座りをしている。キョンだけが、楽しそうにニコニコしていた。


「その昔…ええ、そうね。まだ人類が大きな繁栄を見せていた頃。」


 彼女は年老いた蛇のような表情で、静かに語り始めた。まだ若い容姿の彼女であったが、その貫禄といえば崖に居座る仙人のような出立であった。伝承を伝える老人のような雰囲気を漂わせながら、未だ精神は未熟なキョンとウバイドに語りかけている。訪問人の二人は泣き止んだ幼子のように息を呑んでその話を聞いていた。

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Losers’ Heaven 闇夜ロクジ @yamiyorokuzi

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