ガン ウィズ ア マジカル~異能力少女がギャングシティを駆け巡る~
阿部光晴
1章・魔法使い自覚編
第1話 The Witch`s Emotions
20世紀の後半、クソみたいな治安と立て続く犯罪で薄汚れた街、
私はルウジュ・ウルフマン、魔法使いよ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私の家は貧しかった、当時の私は14歳。お父さんはいない、お母さんと私だけ。
昔妹がいた気がするけれど今はいない。
お母さんは毎日夜遅くに帰るから私はいつも独りぼっちだった。やることもなければお金もない当時の幼い私は外でぶらついてた。
食べるもんもないので私はゴミから食べれそうなものをあさっては口にしていた。私からすればどれも美味しかったが、特に食べ残しの骨付き肉はうまかった。
そんな生活をしているとそこでたまたま知り合った3個上のお姉さんに万引きを誘われた。当然私は万引きをしたことがない。
お姉さん:「あんたは店員の気を張ってて、そのスキに私が器用にとるからさ。」
最初はなんだか罪悪感があったけど、次第にその心も消えていつしかゲームのように感じてしまったのだ、つまらない私の人生に背徳感という花が咲いたような高揚感が来る。
お姉さんの名前はエマちゃんで、彼女も私と同じで天涯孤独の身らしく、私のような友人が欲しかったと言っている、無論私も同じだ。私とエマは意気投合したのだ。
エマ:「なあルウジュ、魔法使いっていると思う?」
盗んだパンを路地裏で食べ合いっこしている時だった。
ルウジュ:「魔法使い?」
エマ:「そう魔法使い、絵本の中だけの存在がこの街にもいるんだってさ」
ルウジュ:「私絵本読んだことないからわかんない」
エマ:「そっか。でもいるらしいんだよ魔法使い、目撃例とか実際にやつらと 戦った人たちも噂じゃいるみたいだし、何より面白ぇのはいるかもどうかわからない彼らに多額の懸賞金が懸けられてるらしいんだよ、ロマンあるだろ!?」
ルウジュ:「...エマちゃんってなんか男の子みたいだね」
エマ:「悪いかよ、あと別に私は魔法使いを捕まえて金にするなんて考えてない、というか一端のコソ泥なんかにそんなことできない」
ルウジュ:「じゃあなぜ魔法使いの話をしたの?」
私はエマちゃんに素朴な疑問を返した。
エマ:「そりゃ決まってんだろ、魔法使いにあったらソイツの魔法でこう叶えさせるんだ、『魔法使い様、私らにお金の雨を降らせ給へ』ってな」
ルウジュ:「何それ、結局金じゃん(笑)」
エマ:「一例だよ一例、それに懸賞金じゃ底があるけど金の雨はもう年中ドシャ降りよ、それに私らには武力はないが子どもではある、子どものように甘えて泣きつけば魔法使いも叶えてくれるだろ?そうなりゃ窃盗よりも楽な仕事だぜ」
ルウジュ:「ま、でも遭えたらの話だけどね」
エマ:「ちっもうパン終わりかよ、クッソお腹すいた」
ルウジュ:「向こうの路地裏のゴミ袋に生肉があったよ」
エマ:「ほう今日はご馳走だなじゅるり」
この日の私たちは先の見えない暗闇に光がともったような気がしてなんか嬉しかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ルウジュ:「ただいま」
エマ:「お邪魔します」
ある日私たちは私の家でお泊りすることにした。お母さんはたぶん明日の朝まで帰ってこないだろう、今夜は私だけでお泊り会だ。
エマ:「うわぁあスゲぇひさびさのちゃんとした屋根だぜ」
エマちゃんはすごく嬉しそうだった。そしてそのまま家を駆け巡った。そしてボロボロのベットに飛びつく。
エマ:「ゴミ袋とは違ってふかふかぁ」
エマちゃんの嬉しそうな様子をみて私も嬉しそうになった。私も同じベットに飛び込む。
エマ:「ちょっおい」
ルウジュ:「えへへ」
そしてしばらくベットでゴロゴロしたあと私たちは眠りついた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
翌日私は目を覚ました。今日はエマちゃんと肉屋の肉を盗もうかな、そう思って私は隣に寝ているエマちゃんをゆすり起そうとしたが…
ルウジュ:「ん、あれ?」
ベッドにはエマちゃんの姿はなかった。
ルウジュ:「エマちゃん?」
暗いのでカーテンを開いたがやはりエマちゃんはいなかった。
ルウジュ:「エマちゃーん」
大きな声で飛びかけたがどうも反応もない。すると向こうからお母さんが現れた、仕事から帰ってきたのかな?あっでもお母さん気難しい人だしエマちゃんがいて大丈夫かな。
ルウジュ:「…おかえり」
お母さん:「ルウジュあんた、あの子何?」
案の定お母さんがエマちゃんについて問いてきた、でもしかたないよねエマちゃんのことなにも言ってなかったし。友人の名前くらいは言っておくか。
ルウジュ:「何って、友達だけど...」
お母さん:「!」
するとお母さんは何故かいきなり私の頬をひっぱたいてきたのだ。
ルウジュ:「イタっ」
その勢いで私は地面にひざまつく、そして上を見上げると激情するお母さんの顔があった。
ルウジュ:「どうしたのお母さん!?」
お母さん:「どうしたもこうもないわよ、あなた何独りでに友達なんか家によんでんのよ!部屋もいっちょ前に汚して!」
ルウジュ:「で、でも私せっかくの初めての友達だったんだよ、それにお母さんだって時々男の人を家にあげてるじゃん!」
お母さん:「それとこれとは話が違うわよ!それに私はいつもいつもやりたくない仕事を毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日やっているのにぃ、あなたって子はそんな私の苦労は放っておいて楽しそうにしてぇ、ましてや私の視界にそんな毒物いれるなんて厭らしいわよ!」
お母さんの手元にはいかにも高級そうなバックやアクセサリーが飾られている、私はボロボロのボサボサだ。
ルウジュ:「何よそれ!楽しくして何がわるいの、もういいよ私エマちゃんと今から出てくから、エマちゃんとならお母さんがいなくたって自立できそうだs」
お母さん:「あんたの友達ならもう殺しといたけど」
ルウジュ:「えっ!?」
何を言っているのか私にはわからなかった。
ルウジュ:「どうゆうことなのお母さん、さすがに嘘だよね!?」
お母さん:「さっきすれ違ってさ、その子もまたなんか幸せそうな顔してたから虫唾が走ってね、思わず棒で殴っちゃった。最初は焦ったけど冷静に考えてあのくらいの年頃の子ならあんたの友達か何かってことはなんとなくわかったてたし、あとあんたの友達にまともなやつなんていなさそうだしね。こんな独り身みたいなやつなら放置で問題ないって閃いてねぇ、わぁあはははははははははははは!」
私はもはや何も言えなかった、絶対嘘だと思い私はそれを確かめるべくお母さんよりも向こうへ駆けつけた。
ルウジュ:「っ!!」
信じられない光景だ、唯一の友達だったものが床に放置されている、血で池ができていた。
ルウジュ:「エマちゃん、エマちゃああん!!」
彼女を抱えて揺らし続けるが全く反応がなかった。
ルウジュ:「ねえ、返事してよぉねえ」
お母さん:「あっそうだ、この勢いで娘も殺せば邪魔者がいなくなって、私幸せになれるかも」
お母さんは私に向かってトボトボ近づいてきた、余裕の表れだろうか。
ルウジュ:「ひっひひひゅっひい」
怖くなった私はエマちゃんを抱えながら外へ出ようとした、きっと私だけなら今のお母さんから普通に逃げれたかもしれない。しかしこんな場所に独りエマちゃんを置いていくわけにはいかなかった。
確かに私たちは今までいろんなものを盗んできて悪いことばかりしてきたけど、こんなの、こんなのってあんまりだよ
自分よりも背丈の大きいエマちゃんを運びながら外に出れるはずもなく私はすぐにお母さん、いや母に押さえつけられてしまった。
母:「捕まえたぁあ」
ルウジュ:「放して、放して!」
母への感情は恐怖から怒りに代わっていた、エマちゃんを殺したこの女を私は許さない。しかし自分より体格のでかい母に私は成す術がなかった。手で首を抑えられて呼吸が困難になっている、すごく苦しい。
お母さん:「あんたさえ、あんたさえいなければ私はもっと楽だったのに…!私のためにあの世に行ってくれぇ!」
その言葉を聞いた瞬間異様に頭に血が上った、そしていろいろ思い出してきた。
今にして思えば父は他の女の人と出て行ったし、そして確かに私には妹がいた、しかし妹は知らないおじさんに連れていかれた。妹がいなくなったショックで私はこの記憶を奥底へと封じこめていたが、あの時の母は気持ち悪いほどにすごく笑顔だった。
そしてまたこの女は私から大切な人を奪っていく、幼いながらも私はこの世の不条理を打ち付けられた気がして異様に殺意がわいてきてしまった。
ルウジュ:「...あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
幼かった私の精神と性格は
絞められていた私の喉からありえないほどの咆哮が鳴った。身体に力がみなぎる。その勢いで私は母を振り払った。
母:「何すんのよガキの分際で!」
何か叫んでいたがそんなこと今の私にはどうでもいい言葉だった。
おかしな話でいきなりだが私は不思議な力が自身に宿っていることを感じた。この女を殺したいという怒りをきっかけに知覚したのだろう、とにかく私は不思議な力を本能で感じた。
ルウジュ:(なんだ、なにかが湧いてくるような...指からなにかを出せるような)
人差し指を伸ばし指を母に合わせる、銃を構えるみたいに指鉄砲で。
私の合図で母が消し飛ぶことを悟った私は殺意とオーラを込めて
ルウジュ:(もうなんでもいいや、とにかくこの野郎は許さない!)
ルウジュ:「死ねぇえ!!」
と叫んだ、その一言とともに母の身体は膨張し、
バァアアンっ! 爆弾のように大爆発を起こした。
凄い音がした、母親は塵と化した。
―GUN WITH A MAGICAL-
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