第8話 目標

その日の夜。自室のベッドにて、俺は今後の人生について考えていた。頭の中で、教室でのクロナの言葉を反芻する。




『ええ、そうね。私も驚いたわ。でもこれは大きなチャンスよ。私たちは確実に強くなれる。』




・・・・強くなって、どうする?俺はこの世界で、何をしたいんだ?




今朝からずっと、頭の中にあった疑問。あえて考えないようにしていたこと。




幸いにして、才能はある。このままいけば、学園を卒業し、軍の中でそれなりの役職について、それなりの生活を送れるだろう。だが、本当にそれでいいのだろうか?




それだけでいいのだろうか?





それで本当に、俺は満足なのか?





思い出されるのは、高校時代からの趣味で読んでいたネット小説の数々。その中には、この異世界に似た世界観も幾つもあった。そして、その数多の物語の世界の中で主人公達は実に、生き生きとしていた。





時には笑って。時には泣いて。そんな青春とも言える日々を信頼出来る仲間達と過ごし、苦難を乗り越え、やがて英雄となっていった。






・・・・・・・ああ、俺は、いや、俺も。







そんな幸福な人生を、送りたい。








前世で失った、社会的な地位・名誉・信用。

そして、家族。






この世界で、もう一度手に入れたい。






-----他でもない、自分自身の力で。







そして、今度こそ絶対に、手放さない。






そう、絶対に-----!









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そうと決まれば、あとは行動に移すだけだ。

取り敢えず、明日から始まる座学や戦闘訓練に励むとしよう。




この学園での当面の目標は、トップに立つこと。今の俺にはそれが出来るほどの才能がある。あとは努力次第だ。








・・・・・そこまで考えたところで、いよいよ眠気に耐えられなくなり俺の意識は次第に落ちていった・・・・・。

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