第7話 月明かりと2人
「んん…。今何時だ…?」
いつの間にか眠りについてしまった。
時間を確認しようとすると、見慣れない部屋のベッドで横になっていた。
というかここって…。
「ああ、そうか美緒の家か」
「私たちの家だよ」
「あ、ああ。そうだった」
美緒の家ではなく、俺と美緒の家だそうだ。
「というか、今何時?」
「今?今は、丁度0時を回ったとこだよ」
「そうか…。どのくらい寝てた?」
「3時間くらいかな。ダーリンの寝顔素敵だったよ」
「それはどうも」
寝てる間、俺の寝顔見てたのか。
退屈じゃなかったのだろうか。
「ふふっ、私の心配してくれるんだ。優しい」
「あ、ああ」
「でも大丈夫だよ」
「それならよかった」
美緒の顔が月明かりに照らされて、より一層美しかった。
「ねぇ」
「ん?」
「血を吸っても良い?」
「今更だな。良いよ」
「ふふっ、ありがとう」
美緒を俺の首筋を咥え、歯を立てる。
俺たちは、月明かりに照らされながら吸血していた。
ん?
月明るくね?
というか、満月じゃね?
瑠衣さんの言葉が頭をよぎる。
『満月の日は休めない事』
待て待て待て。
そういえば、美緒の料理に違和感がある。
かつお、レバー、小松菜、ほうれん草。
これってまさか…!?
「ふふっ、ダーリンの血美味し♡」
鉄分豊富だなっ!?
あからさまに鉄分を摂らせてるよ!!
「ねぇ、もっと食べていい?」
「もっと…?」
「うん、もっとって…うおっ!」
美緒に馬乗りにされて身動きが取れない。
「はむっ」
「うっ」
美緒はまた俺の首筋に歯を立てる。
俺の血が吸われてる感覚もする。
「ぷはぁ♡」
「結構吸ったな」
「まだまだだよ♡」
「えっ?」
「ふふっ、『命令だよ、服を脱いで』」
「なんでって…。また体が勝手に」
美緒は俺の上から降りると命令をしてきた。
美緒の命令に逆らえず俺は、全ての衣類を脱ぐ。
「ダーリンの身体、素敵だよ♡」
「ちょっ、何でお前も!?」
「お前じゃないよ、美緒だよ」
美緒も服を脱ぎ、お互い生まれたままの姿となった。
「どう…?」
「どうと言いますと?」
「私の身体、変じゃない…?」
「いや、とても綺麗だと思うけど…」
「本当に?」
「本当だよ」
「そっか、良かった」
気まずい。
恥ずかしさもあるが、それよりも気まずい。
俺は、そんな女性経験がない。
一般的な高校生だ。
これまでにお互いに裸を見せ合う関係の人なんていなかった。
「ねぇ、ダーリンしよ♡」
「流石に、これ以上は…」
「命令しないとだめ?」
「いや、流石に今日は…。ほら、明日も学校だし…」
「あーあ、初めてはお互いの意思でしたかったのに。命令させるの?」
「うっ…」
多分、断っても今日命令により初めてが散る!!
というか、美緒も初めてだったのか!
まあ、そうだよな!!
眷属は俺だもんな!!
「ダーリン…しよ♡」
そこからは、勢いだった。
美緒を押し倒し、月明かりに照らされながら肌を重ね合う。
時には、優しくお互いの身体を大事にするように。
時には、獣のようにお互いの欲求を満たすように。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
気が付いた時には、月が沈み、朝日が昇ろうとしていた。
「はぁはぁはぁ♡」
「美緒…」
お互い、体力が尽きベッドに倒れこむ。
「ダーリン、好き」
「俺もだよ」
「ちゃんと言葉にして、俺も?」
「好きだよ」
「ふふっ、嬉しい♡。ようやく一つになれた♡」
「ようやくってそんなに待ってたのか」
「当たり前でしょ。貴方を見た時には、今日みたいなことをしたいとか思ってたんだもん」
「そうだったんだ」
「うん!」
美緒の性欲強すぎて、本当にびびった。
まさか毎回満月の日ってこんな感じになるのか…。
「満月じゃなくてもするよ?」
「えっ?」
「満月の日は必ずするけど、それ以外の日でもするよ」
「俺の身体持つかな…」
「大丈夫だよ。もう貴方の身体は人間じゃないんだから」
「そういえば、そうだった」
本当に波乱の1日だ。
いろんな過程をすっ飛ばして、こんな事になるなんてな。
「それで美緒」
「なあに?」
「今日は学校に行くのか?」
「そうだね…。行こっか」
「分かった」
「家でいちゃいちゃするのも良いけど、高校生活は有限だから」
「確かにな」
「というか俺の制服、脱ぎっぱなしだ…」
「ふふっ、それなら大丈夫だよ。言ったでしょ。ダーリンの服は買ってあるって」
「あぁ」
服って制服もなのか…。
用意周到すぎる。
「ここから学校ってどのくらいかかるの?」
「んー。歩いて15分くらいかな」
「まぁまぁ近いな」
俺は普段、家から学校に通うのにはバスを使っている。
そのため徒歩で通えるのありがたい。
「ダーリンと一緒に通いたいな」
「そのくらい良いよ」
「やった」
「というかここまでしといて断るわけないだろ」
「へへへ」
美緒がだらしない顔で笑う。
普段の彼女からは絶対に見ることができない笑顔だ。
「ねぇ、もう少しこうしてて良い?」
「良いよ」
「ありがとう」
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