第6話

sideライオット王国国王


第2王女が他国であるバルシアナ帝国の街道沿いの野営地に無惨な骸を晒しているのを国王直下の暗部達に発見され、自国であるライオット王国に無言の帰還を果たす。


死因は首を両断されたことによる即死。見事な斬れ味に第2王女は痛みを感じるより先にいつの間にか死んでいた状態に陥ったと司法解剖を担当した者が報告した。


その報告を聞いて荒ぶっていた感情が少し和らいだのはライオット王国国王リチャード・ライオットであった。


暗部達からの発見時の状況を聞いた際には怒りで帝国に全面戦争を仕掛け、件の魚人族の子供諸共滅ぼしてやろうとした国王リチャード。だが、ろくに調べずに感情的に動いては国を治める者としては失格だ。1人の親としては合格かどうかはわからないが。


無惨な姿にされたのは死後という報告に国王リチャードは額に青筋を浮かび上がらせながら「やっぱ、帝国には何らかの報いを受けてもらおう」と口にした。親としては合格だが、国王としては失格かもしれない。


発見時、第2王女は衣服を着用して居らず四肢は首の切り口とは雲泥の差の粗悪な刃物で切断され左手の指にはめていたライオット王国の王族である証拠の指輪は左手ごと持ち去られていた。第2王女は死後、複数人いや数十人の男達に玩具にされ穴という穴に大量の体液を注入され、生前は美しかった肌は無数の切り口を開けられ…唯一の救いは大人でも登るのが難しいくらい高い木の枝と枝に挟まるようにされていた首だけであった。


首から下を玩具にした者達が木に登って首にも悪戯をしようとしたが登ることが出来ずに断念したのは木に残された浅い傷によりそう判断された。普通の木にしては異常に硬い・・・・・ことから首を木の上に置いて行った者が何かをした可能性が高い。簡単であるが汚れを落とされた形跡がある首。これらのことから、首から下の蛮行と首を木に設置した者は別であるという結論に至った。


「件の魚人族の子供は確か5歳だったか?」

「はい、そうです。」

「ならまだ、精通すらしてないからあのような事をしたとは考えにくいな。見つかりやすいように野営地に遺体を置いて行ったということは第2王女の身分を知っていたんだろうか?」

「第4王子からの報告に1度、奴隷商人に捕まった際に件の子供に助けられ一目惚れしたようなことを話していたようです。」

「件の魚人族の子供に執着するきっかけがそれとは…そもそも、王族が奴隷商人に捕まるという状況が理解出来ん。だが、その時に件の魚人族の子供は第2王女の身分を知った可能性があるな。そして、どうして殺されたのかはわからないが他の者達と同じように葬らずに野営地という人に見つかる場所に置いて行った。遺体だけでも帰してくれるのは良かったが、他の者はそうではなかったか…」

「どうされるおつもりですか?」

「無論、第2王女いや我が娘を死後に辱めた蛮族は些細な繋がりも残さずに諸共消せ。方法は任せるが簡単に済ませるなよ?」

「御意」

「あと、件の魚人族の子供には何もするな。アレは触れさえしなきゃ害はない…はずだ。」

「せめて、断言してください。」




「エレオーラ…なんでこんな馬鹿なことを…」


side終




さて、次は何処にしましょうかね。今回も街道をテクテク歩く私。5歳児の短い足なので時間がかかりますが、経験値と物資も引っかかりますので得しかありませんね。


ちなみに、街道で遭遇し殲滅した者達の供養はしません。往来なのですから誰かが勝手にやってくれるでしょう。森の中は私しかいなかったから仕方なくそうしました。あ、お姫様の供養してませんでした。ま、高貴な身分の方ですからお国でやってくれるでしょう。私が設置した後に何かがあって、それがきっかけでアンデッド化しても高位聖職者が居れば瞬殺でしょう。もし、アンデッド化するとしたら首落としたのでデュラハンのお姫様ですかね。弱点である水責めするだけで対処出来るので何にも驚異にもなりませんね。


驚異になるとしたら死後にどれだけ筆舌に尽くし難い行いを遺体にされたかで変わりますが、デミリッチークラスから邪神の眷族化ですかね。デミリッチーやリッチークラスだと最高位聖職者を最低でも5人、あと英雄クラスから強者が10人は必要ですね。最高位聖職者とは枢機卿クラスですが、この世界の聖職者の大半はど腐れなので期待薄です。


ノーライフキングクラスだと更に驚異度が跳ね上がって、聖女や聖者クラスが最低でも3人で勇者か勇者1歩手前の実力者が7人必要になります。ですが、現在聖女も聖者も未確認で勇者は3人しかいません。勇者1歩手前の実力がある人も5人いるそうですが真偽不明。何故なら自称であり全員貴族なんですよね。貴族に転生した元同胞の可能性があるかもしれませんが、まともな人が少ない世界でいくら貴族に転生しても安全とは言えませんので。


あとは、邪神の眷族化ですが負の集合体を邪神だと言われてるので正確には違うんですよね。死後にあまりにも酷い扱いを受けた遺体の持ち主が負の集合体からチカラを魂の限界点を越えるほどに吸収した姿が禍々しすぎて邪神の眷族化と言われてるらしいです。


これらの情報は何故か、ど腐れ商人や盗賊や経験値さん達を倒すと図鑑に記載されているんですよね。もしかしたら、倒した相手の知識を図鑑が拾っているのかもしれませんね。ちなみに、トカゲ達や魔物を倒しても知識は増えませんでしたね。食べたら記載されているのでまだまだ謎が多いスキルです。




む?後ろから経験値いえ馬車が走って来てますね。通行の妨げになっては行けません。私は道の端っこを歩くので先に進んでくださいね。私の経験値になりたいなら歓迎しますよ。


暫くすると馬車が通り過ぎようとして速度を緩めましたね。経験値ですか?微々たるものでも塵積もになりますので歓迎です。


「おう、坊主。お前一人か?親や付き添いはどうした?」


やや私と並走するようにスピードをゆるゆるに緩めた馬車の御者席に座っていたおじさんが私に話しかけて来ました。今は普通の人っぽいですね。


「私一人ですよ。私は孤児なので親も付き添いもいません。それが何か?」

「いや?なに、こんな辺鄙な街道を一人の珍しい魚人族の子供が歩いてるからな。」

「私、魚人族の血筋ですが他種族の血筋も受け継いでる混血児ですので純血種ではありませんよ。」

「そんなこと言わなきゃわからないだろ。」

「純血種の魚人族には確実にバレるんですから無意味では?」

「だが、誰が海から離れようとしない魚人族に確認させる奴がいる?こんな海からかなりの距離がある大陸の中心に近い内陸地に。」

「その海から離れようとしないは、海から離れることが出来ないってことになります。つまり、海から離れて陸地を歩いてる時点で私は純血種ではない混血児という証明になります。これでは大して売れないどころか貴方の商人人生も終わりですね。」

「…他国に物好きな好色家とのツテがある俺の商人人生は終わりはしないさ。」

「そうですか。」

「「…」」


お互いに無言になりました。さて、相手が得物をチラつかせるか隠れきれてない伏兵の登場が開始の合図ですね。ワクワクですね。


「はぁ、なんちゅう物騒な話をさせるんだ。まるで、俺が違法奴隷商人みたいじゃないか。」

「商人を見たら人攫いだと思えと蒸発した育ての親である孤児院の院長先生が言ってましたし、実際そうでありましたからね。」

「違うと言いたいが坊主は人を惑わす姿をしているからなぁ…魔が差す奴も出る。」

「私のせいにしないでください。欲望に忠実すぎるのは本能のままに狩りをする魔物と同じですよ。」

「坊主が言うほど俺ら商人という人種は理性的ではないからな?突き詰めれば金の奴隷だから。金になりそうな商材を目の前にしちまうと底辺ほど魔が差す奴が出る。」

「そういう商人じゃない方も居ると言いたいんでしょうか?」

「ああ、だが…坊主の前では皆、違法奴隷商人に早変わりしちまうな。」

「そうですか。では、貴方も?それなら」


腰に差したマイウェポンちゃんの鯉口を切り、刃をチラつかせます。


「う、その得物も素晴らしい物だって言うのがわかっちまう。な、なぁ?俺に買われてみない・・・・・・・か?」

「お断りします。」

「あ」


相手が私にとっての地雷を踏み抜いたため、抜刀術の居合切りで素っ首を刎ました。首を刎られたというのにマヌケな顔をしてるのがなんとも…ざまぁと思います。人買いに慈悲なし。


私の地雷は私を買おうとすること。私を商品として収穫し売ろうとすること。あとは、戦うことが常であるこの世界の常識なので。例えば、得物を抜いたら殺し合いの始まりです。


「お、お父さん!?ど、どうして!?なんで!?」


伏兵だと思っていたのは私より体格の良い子供でした。どうやらど腐れ商人の子供でしたか。社会勉強中だったんでしょうか?最も大事なことを教わりましたね。不用意な言葉は死に直結する。命懸けで教えてくれた親に感謝しましょうね。言いませんけど。言ったらギャンギャン噛み付いて来そうですし。今は首を抱き締めて泣いてますね。こっちに意識が行く前に眠らせてしまいましょう。めんどくさいので。


選曲は、子守り歌にもなる星の歌を。


〜♪


ドサッ


むむ?まだサビですよ?寝付き良すぎませんか?ま、良いでしょう。上手い具合に馬も大人しく寝てますし、今のうちに戦利品をいただいて行きましょうか。


お?これは香辛料ですね。こちらは砂糖ですか。少し質は良くないですがいただきましょう。野菜もありますが少ししなびてますね。食べられるものだけ選別していただきましょう。あとは…む?これは植物性油?動物性油以外では珍しいですね。ふむふむ、小さめな瓶で5つですか。全部いただきましょう。


さて、あとは古着と貴重品ですが今回はこれらは置いておきましょう。あのど腐れ商人の子供がこれで生きていければ良いですが、ま、無理でしょう。父親と同じど腐れ商人の商品にされるのがオチだとは思いますが口には出しませんよ。


それでは、行きましょう。






商人&護衛の冒険者達にイサナくんが遭遇。


「金になりそうなガキだな」地雷発言1

「こんな海から離れた地に珍しい魚人族の子供とは…相当な値がつくぞ」地雷発言2

「あの子供をなるべく無傷で捕らえた者に追加報酬をお約束します。」地雷発言3

「まっじかよ!?オラ!囲め!囲め!商人さんが追加報酬を約束してくれたぞ!これでまた酒が飲めるぞ!」地雷発言4

「へへ、悪く思うなよ?恨むなら親を恨めよな?そんな金になりそうな姿に産んだ親をよぉ!!」地雷発言5


「これ以上は聞くに絶えません。…死ねクソども」


ど腐れ商人&盗賊集団、殲滅。

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