短編集

ヤマイココロ

妬賢嫉能のアクアリウム

水族館の魚達が羨ましかった。


キラキラと装飾された檻の中にいる彼らのことを、誰もが夢中に眺めていた。


私とは違った。


彼らは生きているだけで、人々に感動を与えていた。


私とは 違った。


檻の中の魚達とは違って、私はこんなにも自由なはずなのに、私が欲しいものを、私が手にしたいものを、私が手に入れられないものを、あの不自由な魚達は持っていた。


狭い水槽の中で、優雅に、可憐に、そして必死に生きている彼らを見つめながら、


私はただただ、涙を流した。

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短編集 ヤマイココロ @yamaikokoro

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