第1072話 お店の秘密
「ワッハッハー、こいつは傑作。カウンターの兄ちゃん達はお偉いそうだから食べたことあると思ったんだが……やりすぎたかな」
「これは……あ!旨みの過剰摂取」
ダンジョン食材はとても美味しい。
あまりにも美味しすぎて脳が理解しようと味覚以外の感覚を停止してしまう。
その結果体がフリーズする現象が起きる。
よく食べなれている人は克服できるそうだけど、初めて食べる人やあまりにも旨みが強すぎると発生する現象です。
「ダンジョン食材を食べると身体がフリーズする現象……やっぱり、この料理って」
「おう、ダンジョン食材だぞ。全く、仕込みが間に合ってるのがこの辺で助かったぜー。店に来るなら電話してもろて……ほんと、讃岐さんやオーナーの言ってた通り、とんでもない妖力、いや魔力を出してますね。田島さん」
「……魔力、まだ抑えられてなくて。ってやっぱり讃岐さんのお知り合いの方ですよね?大天狗盛りってなると……天狗さん?」
「……安直すぎましたね。改めまして。鞍馬天狗の蔵馬風一郎(くらま ふういちろう)といいます。本日はお越しいただきありがとうございます」
蔵馬さんが深々とお辞儀する。
口調も敬語になってるー。
けど、やっぱり亜人、いや妖怪の方でしたか。
讃岐さんの知り合いってだけで亜人なんだろうなーっては思ってたけど大天狗盛りは隠しきれてなくない?
「さて、皆さんの意識が戻るまでこのお店の話でもお聞きになりますか?食べながらでも構いませんよ」
「いいですねー。教えてください。あと、敬語はちょっと……さっきまでタメ語だったので違和感が」
「それもそうですね……ふー、いやーオーナーから『強者が来た時は敬語!』と教えられてて……流石に兄ちゃんの魔力には汗ダラダラだったぜ。オーナーが来てたら卒倒してたかもな」
お、先程までの蔵馬さんに戻った。
こっちの方が見た目的にもあってる。
さて、このお店『鬼の酒蔵』は亜人専門のバーだそう。
オーナーさんは酒呑童子という妖怪だって。
全体アーツ宝具の人ですね、分かります。
……あ、それ言ったら怒る?失礼しました。
元々は酒呑童子さんの実家が京都でおすすめの酒を関東の知り合いに飲ませるために店を作ったのが最初だそう。
蔵馬さんは叔父が酒呑童子さんと飲み仲間だったことと料理人見習いをやっていたからスカウトされてここに来たらしい。
ちなみに讃岐さんとは料理学校の同期なんだって。
いやー、亜人が通う料理学校ってすげーなー。
ちなみに讃岐さんが年末のヘルプを頼んでいる亜人の1人だってさ。
おっどろきー。
「ここのダンジョン食材は俺とオーナー、契約した探索者達が取ってきたものばかりだ。ぜひ食べていってくれよな」
「はーい。それじゃ、いただきまーす」
オムライス!オムライス!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます