第1045話 サプライズの費用
「あっつあっつ……それ程の人間を動員して利益は出るのか?」
「……シュート伯爵、小籠包ハマったんですね。あ、そこは赤字ですよ?ほぼ俺の出費だけの予定ですし」
「……サラッととんでもないこと言うな。けど予想通りだな。さてはお前、税金対策か?」
「お、流石エクス。正確にはお金を回せ、ってギルドから言われたんよねー。税金対策ってのもギルドからアドバイスされたけど」
はい、ぶっちゃけた話、俺大金持ちです。
先日のアメリカでのオークションの利益だけでも数十億円にもなるし、指名依頼や素材の売却、後ダンジョン配信の収益などを含めると国内トップクラスに稼いでおります。
……SEの年収の何十倍だろうね。
今の仕事楽しいから辞める気は無いんだけど、源泉徴収票見た時にちょっと声出たもんね……
(´Д`)ハァ……
……いかんいかん、話を戻して。
俺の通帳にはゼロが沢山並んでいる訳ですよ。
お金を持っているなら経済を回せ、という話が出てくるわけですよ。
「俺、マイホームも買ったし、車も今の軽で十分だし、飛行機買ってもなーって思ってたら、この前アメリカから貰っちゃったしでぶっちゃけた話、お金使うところないんですよ」
「……贅沢な悩みだな。だがそれも正しいな」
「なー。飯に金かけるにしても自分で取りに行って作って食べる方が気が楽でいいし、配信機材を高額に!って思ってたりすると案件で貰えたりするんだよねー」
「だから赤字でも実施すると。経済を回すことは良い事だ。貴族としてやらねばならぬ大事な事だぞ。だが、お前の行動ではそこまで市場は動かないだろう?」
ま、それはそう。
今回もお金を出しているのは俺の知り合いであるゴン太と地元の農協の人達、後ギルド経由で日本各地の農家さんにお金を出しているだけ。
国内総生産のうちコンマゼロにもならない出費だと思うけど、まぁやらないよりはマシでしょう。
「あ、そういえば。ホームレスへの支援にもなってるらしい。日雇いだけどガッツリ準備しているって。年末の炊き出し支援も俺のところから出してもらうってさ」
「……日本もホームレス対策しているんだな」
「ふむ?ホームレス?あぁ、家なしの民か」
日本は1万人あたりのホームレスの人口が世界でもとても低い。
けど、ゼロではない。
国の法律では貧困層に向けて、申請を出せば生活保護と一緒にDランクになれるので、探索者になればある程度上層で素材を集めて生活が出来る。
そこから這い上がってAランクの探索者に、という話だってたまに聞く。
昔はホームレスを大勢雇ってランクを無視して中層以下の階層までタダ同然で行かせていたブラック企業とかもあったらしいのでホームレス支援はとても重要視されている。
ギルドがメインで支援しているってのもあるけどね。
「ホームレスの人達が年末年始過ごすためのシェルターがあるんだけどそこに配送する分も俺の収益から出すって。セレブがよくやる支援策ってやつだってさ」
「……アメリカのセレブはよくやるな。それでたまに炎上しているが」
「……不吉なこと言うなよ」
「金持ちが貧困層を支援する。これは国が発展する重要なことだぞ。吾輩の住む国はそれが失敗したから崩壊したがな!今は良き王が誕生したから復興が進んでおる。カッカッカッ!」
く、国が滅んでたんですか……
そういえば伯爵の住む世界、全体的に暗い印象だったけど……
……サラッと爆弾投下しないで貰えます?
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