第709話 記者会見の裏で

「おりんさん、ご無沙汰してますー。お元気でしたか?」

「いやー、全国津々浦々。色んな山を封印してきて骨折れましたわ。田島さんもえらい有名になられて……深淵まで行かれたとか」

「まぁ、成り行きというかなんと言うか……」

「……あれはギルドがこっそりやったのが悪いので。大々的に告知しておけばよかったと反省しております」


立川さんが困った顔をする。

今日はアメリカにオークションに行く前に東京で記者会見です。

今年のメンバーはSSSランクのおりんさんと俺、バンドグループ『ブラックフェザー』のメンバー4人、Vチューバーの吹雪アラレさんです。

『ブラックフェザー』の風花さんとは秋以来ですねー。

何でも深層の毒霧期が想定よりも早く終わったから地上に戻ってきてすぐの仕事だって。

会ったら泣きつかれましたよ……社長とマネージャーに怒られたって……

そもそも喉の調子を整える的な理由で休んでたらしい。

……喉の調子悪いのに毒霧期の深層にいたらダメじゃん。

けど、お陰様で亜人として隠れて生活することも無く、ランキングも上位に上がったらしいので全体的にプラスになったそう。

他メンバーも天狗仲間だったらしくカミングアウトして『世界初の亜人バンド』として売っていくらしい。

頑張ってください!


吹雪アラレさんは完全に初見です。

挨拶も簡単にしかできてない。

見た目ほっそりした色白の女性でした。

なかなか熊本じゃ見ないタイプですね。

喋り方も元気溢れる感じで好感が持てます。

こりゃ人気が出るのもうなずけますねー。

記者会見が終わったら別途話があるそうで後で集まる予定です。

……多分亜人絡みかなー。


「とりあえず記者会見はギルド主体で自分たちは出なくていいらしいので助かりますねー」

「それなー。記者会見っていらん事ばっかり聞かれるから疲れるねん。そもそも爆弾しか投下しない男の横だと心が持たんで」

「……その言い方はないんじゃないです?流石に爆弾投下する予定は無いですよ」

「……爆弾の自覚があるだけでアカンやん。この前の深淵探索、国外でも盛り上がっとるらしいしなー」


出発は明後日の早朝。

その間は取材とか準備とか色々あるからねー。

ちなみにゆり達は先に出発してます。

ハリウッドで色々楽しんでくるってさ。

付き添いで四つの太陽メンバーがいてくれるから助かるわー。

4人、日本を満喫してオークションに参加する流れだったらしい。

メキシコは今回下層の素材などを出品予定らしいのでそこまで気張ってないそうだ。

ほぼ要人警護だから暇だ!ってケルーさんがボヤいてたっけ。


いかんいかん、回想が長くなった。

深淵の話は世界中に知れ渡っているからね。

福崎さんに土下座してる時に聞いたけど、各国から詳細な情報を求む!って連絡が来てるらしい。

情報を渡すわけないので全部ぶっちぎってるらしいけど。

……福崎さん、6ヶ国語喋れるんだね。

まぁ、情報も何も動画に映ってる以上のことは無いんですけどねー。


「……オークションの時、なんか言われますかね?」

「そりゃ言われるやろ。アメリカはもちろん、もうすぐ深淵に到達すると言われてる中国、ロシア、イギリス、フランス、ドイツ、インド……後イタリア、スペイン、トルコ、ブラジルも怪しいな。個別会談とか申し込まれるんちゃう?」

「……えぇ、だるぅ」

「……あんさん、最近顔に出るようになったなー。サラリーマンやろ?そんな顔に出て大丈夫なん?」


開発メインで営業じゃないのでセーフです!

顔に出るぐらいがSEとしていいと思いますよ。







――――――――

閲覧ありがとうございます!


ちなみにフェリダーさんはお留守番です。


白川ダンジョンの招き猫をしてもらいます。


星、ハート、コメントよろしくお願いします!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る