第32話 スキルを使おう
行方不明の子達は男女二名ずつのパーティーを組んでたと部長くん―河内くん―から教えて貰った。
「女子はアゲハとミミ、男子はテツオとカネオです。アゲハがBランクで、今回パーティーリーダーを任せてました」
「オッケー。とりあえず急いでボス部屋まで走ろうか。後ろからついてきて」
「は、はい!」
俺は中層のボス部屋まで全力で走った。
善は急げって言うし、なにかあれば助けに入らないとね!
「ちょっと……!まってくださいぃ」
「あ、ごめんごめん。ちょっと本気だしすぎた」
「本気って……走るだけで……はぁはぁ……モンスターが、弾けてたんですけど……」
「ま、まぁ、急ぎだから、ね?多少はね?」
……うん、魔法で風の障壁を作ってたんだけどモンスターを軒並みミンチにしてました。
後ろを走ってた学生たちの顔がひきつってる。
「ま、まぁそれはおいておいて。中堅どころになればこんなこともできるって。さてもうすぐボス部屋だけど……」
ボス部屋前のフロアはミノタウロスがいたところだけどまだ出現してないみたいだ。
「さて、とりあえずここにはいなさそうだけど、ボス部屋のなかにいるとなると厄介だな」
「ボス部屋は挑戦者かボスのどちらかが倒れるか、30分以上決着がつかない場合に解放されるんでしたっけ……最後の連絡からもうすぐ30分になりますけど」
「うーん、中の様子が見れれば……あ、そうだ」
ポンッと思い出した。
俺のスキルがあれば部屋の中身を見れるんだった。
スキル:『迷宮掌握』
恐らくユニークスキルと呼ばれるもので、効果はダンジョン内の状況を全て把握できる……とは言ったものの実際は今いる階層の情報がわかる程度だ。
今いる階層のモンスターの種類、頭数、宝箱の位置からトラップの位置、発動条件……他の探索者の位置・状況まで把握することが出来る優れものだ。
ただイレギュラーとかには使えないし、最近は通い慣れた白川ダンジョンばかりに潜っていたから使う機会がなくて忘れてた。
「さて、久しぶりに使ってみますか!『迷宮掌握』!」
スキルを発動して周りを把握する。
ぼやぁーと頭の中に情報が流れ込んでくる。
ボス部屋には人間が四人、さそり型のモンスターが一匹いるようだ。
……うん、怪我をしてるけど命に別状はなさそうだ。
「うん、見つけた!まだ四人は無事みたいだ。たいした怪我もなさそうだし、そろそろ時間切れで解放されるよ」
「え?!わかるんですか?!」
「うーん。それは探索者の秘密事項ってことで。部屋が解放されたら四人を救出できるように準備準備!」
河内くんにお願いすると他の部員に指示をする。
ポーション系や状態異常回復薬はちゃんと準備しているようで安心。
俺、ポーション系持ち歩いてなかったから助かったよ。
最近大怪我なんてしたことないからねー。
――――――――――
やっと主人公最強の一端が書けそうです。
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