第11話
金曜日の夜、鈴音の言っていた合コンに参加していた。
男女四人ずつ八人の合コンだが鈴音がいるので俺の知らない女の子は三人だった。
男のほうは全員俺の知らない人だが鈴音の友達なんだろう。
乾杯から始まり軽い自己紹介の後鈴音の音頭で盛り上がる。
さすがいつも陽キャの中心にいるだけのことはある。
俺はそんなノリについていけず端っこで静かに飲んでいるが。
しばらくしてそれぞれが個人的に仲良くなりたい相手と話すために席を移動し始めた。
俺の前には髪をアッシュブルーに染めてシャギーカットにしたちょっと気が強そうな女の子が座っていた。
たしか名前は
「優也くん、鈴音ちゃんと仲良いんだよね?でも全然タイプ違うけどどうやって仲良くなったの?」
「ああ、元々同じ高校だったからね。鈴音は誰にでもやさしいからね。俺がこんな感じで情けないからほっとけずに相手してくれてるだけだよ。」
「そんな風には見えないけどね。まあそれは置いとくとして優也くんのこと教えてよ。休みとかなにしてんの?」
「漫画とかラノベ読んでるかなぁ。リサイクルショップでバイトしてるからそういうのに興味出てきてね。」
「もしかしてオタク?アニオタとかかな?」
「いや、アニメは見ないかなぁ。漫画も有名なやつで知る人ぞ知るみたいなマイナーなのは見ないからね。」
「私はこんな見た目だけどけっこうアニメとか好きなんだよね。王道な漫画だとアレ見た?」
里佳との会話は意外にも盛り上がった。
見た感じから人に話を合わせるタイプじゃないと思っていたが全く違っていた。
俺の知ってそうな漫画から次々話を広げてスムーズな会話をしてくれる。
彼女のお陰で俺は全く退屈せずに楽しい時間を過ごすことがでした。
「そろそろ予約時間も終了ね。出ましょうか?」
鈴音の声に反応しみんなが帰り支度を始める。
店のレジで鈴音が支払いをしている間に合コンメンバーは外に出て待つことになった。
「優也、今日は楽しかったよ。この後二次会行ける?」
「俺も里佳と話せて楽しかったよ。明日は昼間にバイトがあるからもう帰るよ。」
俺と里佳はすっかり打ち解けて名前を呼び捨てするように、なっていた。
「また優也とゆっくり話したいな。」
「……………」
「……………」
そこで鈴音が支払いを済ませて出てきて「じゃあ一人三千円ね。」と言って会費を徴収してこの後のことを話し出す。
「これからどうしよっか?カラオケ行く?」
「俺は明日バイトあるしもう帰るよ。」
「そっか。またLINEするわね。お疲れ様。一人で帰れる?」
「俺は子供か!ってそんなに飲んでないし大丈夫だよ。じゃあみんなおつかれー。」
「「おつかれー。」」
みんなと挨拶して一人で帰路につく。
しばらく歩いていると後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。
「優也、途中まで一緒に帰ろ。」
「鈴音か。どうしたんだ?カラオケは?」
「優也が帰ったからお開きになったのよ。今日の合コンはイマイチ盛り上がらなかったからね。」
「そうなのか?」
「うん。優也と里佳は二人で良い感じみたいで見てなかったかも知れないけど他は私がいないと厳しい感じだったんだよ。あのままカラオケ行っても疲れるだけだと思ったから解散したのよ。ところで私がお店から出たときなんで里佳の連絡先聞かなかったの?アレ絶対聞く雰囲気だったでしょ?」
「んー、たしかにそんな流れだったよなぁ。聞くべきだったかな。ちょっと他のことが気になっててな。」
「もしかして京條さん?あの後どうなったの?」
「相変わらず鋭いな。日曜日出掛けることになったんだけどこのタイミングで他の女の子に連絡先聞くのが微妙な気がしたんだよなぁ。」
「惚れたの?」
「そんなんじゃねーよ。なんとなくだよ。」
「変なとこで真面目ね。友達増やすぐらいいいじゃない。里佳に聞かれたら連絡先教えていい?」
「ああ、いいよ。」
「りょ。ところで明日昼はバイトなのよね?夜はご飯食べに来るでしょ?」
「バイト夕方までだから夜は行くよ。」
そんな会話していると鈴音のマンション近くまで歩いていた。
お互いに「おやすみ」と言い合い鈴音を見送ってから俺は自分のアパートに帰ることにした。
翌日、昼間からバイトして夜は鈴音に夜ご飯を作ってもらうといういつもの週末をすごした。
そしていつも通りランニングで帰っているとちょっとした出来事があり三人目の女神と出会うのであった。
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