17話 治療
アスナは屋敷に入れられ治療師や僧侶が呼ばれました
「父上、大丈夫でしょうか?」
「一流の治療師や僧侶だ、大丈夫だろう」
治療は無事に終わったようだったが
僧侶の一人が言います
「衰弱は大丈夫だと思います、腕の骨折も治りました、幾つかのポーションをおいていきますのでそれを飲んでください」
クラウゼは
「良かったな」と言います、しかしユーリは別の事が気にかかります
「彼女は空を飛べるようになるのでしょうか?」
沈痛な顔で僧侶が言い始めました
「ワイバーンを見たことも何度かあるのですが、ワイバーンは腕の骨がそのまま
翼となります、そして一度、骨折したワイバーンは残念ながら空を飛ぶ衝撃に腕が持ちません」
僧侶の発言にユーリは驚きます
「そんな、飛べないなんて」
「ただ、彼女は人間態としても生活できるようですから、人間のようにして生きていく事もできます」
クラウゼが言います
「うーむ、残念だが、その方が良いだろう、うちで彼女を引き取ろう、メイドとして我が家で働くというのも一つの方法だ」
しかし、ユーリは納得出来ません
「父上、方法があるはずです」
「ユーリ、私も骨折したワイバーンを何体が見たことがある、残念ながらそこで引退する物が多い、そのまま住処に帰るもの、人間態をして人間のように生きている物もいる」
「しかし」ユーリが言おうとすると
人間態になったガーランドがやってきました
「ユーリ、私は一人、無理に飛ぼうとしたワイバーンを見た事がある、結果は悲惨だった、飛ぶことが出来たが古傷から羽根が折れて墜落して死んだ」
「死んだ?」
「ああ、死んだ、名前は忘れたが私の止めるのを制して飛んで落ちた、ただ、その死に顔は嬉しそうだったのが救いだった」
2人の会話からユーリがアスナはもう飛べないという事実を突きつけられます
ユーリは眠っているアスナのベッドの側にいた
「すまない、君を空に返す事は出来ない」
そんなユーリの言葉
アスナは寝言で言います
「空」
その言葉にユーリははっとします、そうだ、方法はある筈だ
ユーリは自分の寝室でアスナを飛ばす方法を考えながら何時の間にか寝入ってしまいました
夢を見ます、前世の記憶、それは奇妙な機械でした、後ろから火を出して空を飛ぶ乗り物が浮かんできます
そして、陸にいる自分、その乗り物をいじっている者たち「推進力に少し問題があるな」
「パーツを取り替えよう」
「推進力!?」
ユーリは飛び起きます「推進力!そうだ、その方法があった」
ユーリは手紙を書き始めました
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