第17話 第二部 旅立ち
ーー 旅立ち
「セシル様本当に行かれるのですね。」
スイフト王妃が第二王子を抱えて私に言った。
「ええ、この世界に幸せを届けてくるわね。」
と言いながら
「これはのその子の果実よ。」
と言いながら3つの果実を手渡しながら私は魔道馬車に乗り込みスーザン王国の王都を出発した。
最初の目的地は何度か訪れている聖王国だ、そこを拠点に教会の力を借りて私の果実の力をこの世界に広げるの。
ー 聖王国到着
特に何事もなく聖王国の王都に着いた。
教皇様に挨拶をして新たな聖女に話を聞く。
「この国はかなりいい方なんですが、それでも魔物や天災で貧困や命の危険に怯える民が多くいます。」
と悲し気に話す聖女。
「ええ分かっているわ、そのために私は国を出てきたのよ。急ぐ必要のある場所から教えて。」
と言いながら私が密かに作り上げた地図を広げる。
「え!これほど精巧な地図をどうして・・愚問でした。はい、こことここが今緊急に援助が必要な場所でその理由は・・・です。」
と説明を受けて魔物関係の場所には女神の五指のメンバーとタロウに向かって貰い、食糧や治療が必要な場所には私と聖女で向かうことにした。
ーー 天災で作物が育たず貧困と飢えに苦しむ村。
「ここがこの国で一番酷い村で、近くの街も似たようなものです。」
聖女がそう言いながら魔道馬車から降り立つ。
すると村の村長らしき男性がヨロヨロと現れ、
「聖女様が来られた・・・助かるのですねこの村は・・。」
と言いながら意識を失い倒れた、それを降りてきた私がそっと抱きしめて馬車に運ぶと
「さあ一刻の猶予も無さそうです。食事から始めますよ。」
と言いながら共の者たちに村中の人をいくつかの場所に集めるように指示した。
「あなた達は食事の用意をしてまずは此処に調理場と竈門を作ります。」
と言いながら私は移動式の飲み水発生魔道具、魔道コンロ、魔道オーブン、を設置する場所を土魔法で形作ると流しを台とまな板を設置した。
連れてきた料理人達が慌てて魔道調理器具を操作して料理を作り始める。
作った料理は村人を分けた分だけ分けると週のカバンに入れさせて持って行かせた。
次に向かったのは別に指示していた病人の対応だ。
聖女に果実を手渡して
「コレはね治療魔法が上達する果実よ、でも今はダメ今夜休む時に食べてね。」
と念押しをして病人の待つ施設に向かった。
病人は村長宅に並べられていた、中にはもう死んでいるにではないかと思うほど衰弱した者も少なくない。
およそ30人の病人に
「完全回復」
「病魔退散」
「健康増進」
と私ながらの詠唱を繰り返してたちまち病人を治癒していく。
その横で聖女も治療魔法で怪我人などを治療していた。
治療が終われば身体が栄養を求める、私は別に持ってきた食事を取り出すと、手伝いにシスターらに
「この食事は病人が初めに食べるものです、必ず皆に食べさせてください。」
と念押しをして次の場所に移動した。
この村が此処まで壊滅的な被害を受けたのは、この近くでドラゴンが縄張り争いを始めたため、周囲の魔物が外の逃げ出すスタンピードの小さなバージョンのような状態と、ドラゴンブレスが建物だけではなく田畑を荒らしたために、作物がしばらく育たない状況に陥ったためだった。
私はそばのクロに指示する。
「原因を作ったドラゴンの鱗を詫びに持ってきなさい。」
「はい、直ちに。」
素早く動き出すクロ、それを見て私は田畑に手を向けると
「時よさかのぼれ!」
と時空魔法を発動する。
普通の田畑に戻ったところに
「肥料添加」
と言いながら栄養豊富な田原に変え
「種まき」
「促成栽培」
と続け様に魔力を大量に与えると、あっという間に黄金に実った麦や米、サトウキビに各種葉・根果・野菜が田畑を覆い尽くした。
「元気になった村人から借り入れ収穫をお願いしましょう。」
というと同じような田畑を同じように変えていった。
その様子を見ていた聖女一行は、一言も言葉を発することもなかったが、皆等しく首を垂れて祈りを捧げていた。
「さあ聖女さん、次の街に向かうわよ。」
と言うと魔道馬車に乗り込み先を急がせた、そのような旅を20日ほど続けたところで
「セシル様、この王国に貧しく飢えと病に苦しむ場所は無くなりました、ありがとうございます。」
と聖女が言うのを聞いて
「それならば一度王都に戻りましょう。次に行く王国を調べてから必要なものを揃て向かいましょう。」
と告げて王都に戻ることになった。
その途中でクロが持ち帰ったドラゴンの鱗を売り捌いたお金を、被害が大きかった街や村の教会に渡して次の災害や貧困にあえぐ庶民を救うように指示した。
ーー 奴隷達が居る世界
この世界には普通に奴隷が存在する、奴隷にも種類があり
・犯罪奴隷
・借金奴隷
・永年奴隷
と言うもので、犯罪を犯してその贖罪に奴隷となったり、商売や家の借金を返すために奴隷となったり、戦争で負けた兵士や民または孤児などの更には拐われて売られたものなど、みよちや買取先がない奴隷を永年奴隷と言いよほどの金か王国からの赦免状をもらわなければ代々奴隷となる者たちのことだ。
私はこの永年奴隷達をどうにかしたいと考えていた。
本人達には罪もなくただそこの生まれただけ、または犯罪に巻き込まれただけの多くの子供達や女性を助けたかったのだ。
そこで私は奴隷達だけの街を作ることにした。
ー 街づくり
この世界は人口に割には広い土地がある、それは生きるのが厳しい世界というこもあるが、出生率と生存率があまりにも低いからだ。
聖王国の辺境に土地を頂いた、そこに半径10kmの城壁を造り上げた。
道を開き区画を整理して上下水道を引き生活できる基盤を作った後、私は永年奴隷を此処に送り込む。
これには聖王国の国王と教皇の協力をいただいた。
国の惨状を救ったと言うことで、かなりの永年奴隷を無償で送っていただき、ごねる者にはそこそこの金を与えて奴隷を買い取った。
残ることを希望する奴隷もいたし、隠そうとされる奴隷もいた、みんなを助けることは私1人の力では無理だ、これからも教会などの協力を続けて貰いたい。
永年奴隷をすぐに解放することは制度的に無理だ、そこで私は奴隷の子供は奴隷ではないと言う信託を女神様におろしてもらった。
女神に信託に異を唱える王国はこの世界には存在しない。
両親は奴隷の身分が消えることは難しいが、子供にはその制度はない。すると優秀な子供は自活し金を稼ぎ親を解放するのを夢に働くのだ。
こうしてこの街(名をレストレイション)は勤勉の街そして復権の街と呼ばれるようになった。
街の中の建物は奴隷達に作らせた、その賃金を生活費にそして求めるものには田畑を貸し与えた。ある程度の金で買い取れるように値段を設定し、この住民以外が購入することができないように決めた。
街を治めるのは聖王国から派遣された人物だがその監査は教会がすることにして、利権や税を私利私欲に使うことを厳に禁じた。
一度これを犯した領主がいたが、天からの落雷でその命を散らせた、そのため此処に赴任する王国の貴族や役人は、清廉潔白なもの以外希望しなくなった。
これにより聖王国での私の任務は終了となった。
次はどの国なのかな。
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