第79話 雨が落ちてきた


雨が落ちてきた気がしたんだ

何もない国道沿い

味気ない灰色の道に

ぽつりひとしずく雨が


無機質な車のライトを

縋るように目で追いかけて

ほんの少し色の変わり始めた

街路樹の葉が風に舞う


取り残された僕は一人

削れたアスファルトに何を思う

落ちるのが早くなった

太陽の残した光に何を思う


雨が落ちてきた気がしたんだ

力なく握られた手の甲

長く伸びた前髪を掠め

ぽつりひとしずく雨が

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