第2話
無事にコスイベが終わり、奏多はいつも通り愛佳を待っていた。
スマホで今日撮った写真を眺めていると、琉斗のマルス写真を見て頬がにやけてしまったがすぐに無表情になった。
(やっぱり、琉斗さんのマルス好きだな…本当、そのままで…)
するとハイトと一緒に撮った写真が出てきて、奏多は嬉しそうに笑った。
最初はオドオドしていて、顔も下げがちだったが…だんだん表情もポーズも堂々としてきて最後の方で撮ったのはハイトがその場に居るみたいに錯覚してしまう程良い写真だった。
(この人、肌綺麗で本当にハイト王子みたいなんだよな…どんなケアしているんだろう、SNSとか調べたら出てくるのかな…)
そう考えるとSNSで探そうとしたが普段使っていないので全く使い方が分からず困っていた時だった…。
いきなり影で暗くなり奏多が不思議そうに顔を上げるとそこには身長が高い男性が顔を俯かせて立っていた。
一瞬驚いたが、すぐに奏多は気づいた。
「…もしかして…ハイトやっていた方ですか?」
「あ、は、はい、そうです…今日はお疲れ様でした、ありがとうございました!」
丁寧に頭を下げてお礼を言ってくるハイトのレイヤーさんに奏多もお礼を言って頭を下げると、気になっていた事を問い掛けた。
「あのー…いきなりで失礼かもしれませんが…凄い肌綺麗ですけど、ケアってどんな事していますか?」
「え、あ、ケアですか?えっとですね…」
ハイトのレイヤーさんは一瞬驚いたが、すぐにスマホを取り出して何かを調べ出してくれて、画面を見せてくれた。
そこにはSNSの画面で、ケア方法について書かれている呟きで奏多は「おー!」と声を上げてしまった。
「これで綺麗に?」
「あ、はい…あんまり外出しないので、それもあるかもしれませんが…これやって、もっと肌良くなりましたね」
「なるほど、なら俺も頑張ってやってみようかな」
「良ければ送りますよ、こちらの呟き…」
その言葉に奏多は「是非是非!」と返答をした。奏多はSNSをあまり利用していないので普段使っている連絡先を教えた。
彼の名前が
「ありがとう、はじめさんでいいかな?」
「はい、奏多さんで…いいですか?」
「いいよ、同じ男性レイヤー同士、仲良くしようね!」
手を差し出すとはじめはすぐに手を掴んできた。
握手を終えるとはじめは去っていき、奏多は1人になってしまいとりあえず送られてきたSNSの呟きを確認しようとした…その時だった。
「さっきの誰ですか?」
「うわっ!」
いきなり後ろから抱き締められながら耳元で囁かれてしまい、奏多は大声で驚いてしまい、すぐに振り返った。
そこにはコスプレしていない琉斗がいて何故かムスッと不機嫌な状態だった。
「りゅ、琉斗さん…驚かさないでくださいよ…」
「それで、あの人誰ですか?」
ゴゴゴ…とSEが付きそうなくらい睨んでくる琉斗に、困った笑みを浮かべると隠す必要もない為、ちゃんと答えた。
「今日、ハイト王子でいた人ですよ。肌綺麗だったからケアとか教えてもらったんです」
「ふーん…別にそんなケアしなくても、奏多さん綺麗なのに…」
顎を持たれて所謂顎クイというのをされてしまい、奏多は顔を真っ赤にするとすぐに琉斗から離れて相手をジッと睨んだ。
「お、俺、これでもシミとかあるんですからね!」
「そんな気にしなくていいですよ、何なら俺のケア方法教えますよ」
「え…」
それは気になった。琉斗の肌も綺麗でシミなどが全くなくそんなに年齢が変わらないのに、羨ましいと何回も思ってしまった。
聞こう聞こうと思っていたが何となく恥ずかしさとかもあり、聞けず仕舞いだったのだ。
だがチャンス到来で奏多は教えて貰おうと思ったが……
「…ううん、気持ちだけ受け取っておきます、ありがとう」
「……そうですか…」
出来れば琉斗に内緒で綺麗になって驚かせたいという欲が出てしまい、奏多は断ったのであった。
しゅんと落ち込む琉斗に、奏多は周りを確認してから優しく頭をよしよしと撫でてあげると琉斗の表情がパァァと明るくなった。
「奏多さん…」
「あ!ご、ごめんなさい、つい…イケメンの琉斗さんが落ち込んでいる姿が可愛くてとか…うわっ!!」
言い訳を言っているといきなり抱き締められてしまい、奏多は顔を真っ赤にして一瞬固まったがすぐに無理矢理離した。
「りゅ、琉斗さん!」
「だって、そんな可愛い事するんで…」
「いや、可愛いのは…「何騒いでいるんだ?」
奏多の言葉を遮って入ってきたのはゆいと愛佳で、琉斗が何か言おうとしたがすぐに奏多が止めると2人は首を傾げた。
とりあえず帰ろう!と、4人はコスイベ会場を後にしたのであった…。
コスイベから数日後…。
仕事に追われている奏多のスマホが震え、メッセージが届いたのだと分かると確認だけしておこうと画面を見た。
すると、それははじめからのメッセージで…
『今度のお休み、2人っきりでお会い出来ませんか?』という内容だった…。
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