第10話 リベラルアーツ
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リベラルアーツとはいかなるものか。
結論から言えば、この学問には人間を良い意味で束縛から解放するための知識や、生きるための力を身につけるための手法が含まれていると言える。つまりヒューマニズム(人文主義)の萌芽を助ける学問と言える。
この学問のルーツを探れば、それは古代ギリシャのプラトン(紀元前427~347)が推奨した教育にまで遡る必要がある。
人間への問いかけ、つまり古代「哲学」の発生からかなり時代が下った紀元前1世紀の共和制ローマ期に「自由諸学芸(arteberales)」という名称を与えて、420年頃に「自由7科」として体系化したものであり、これにより古き小さなヨーロッパにおいてヒューマニズム(人文主義)が大きく開花した。
リベラルアーツの自由7科は「文法学」「論理学」「修辞学」を含んだ3学(trivium)と、「算術」「幾何学」「音楽」「天文学」から成る4科(quadrivium)とに分かれており、その後、これらは長くヨーロッパにおける大学教育として根付いた。
つまりそれはどんな意味としてか?
言わずと知れた人(ホモ・サピエンス)が持つ必要がある技芸の基本として。
ではそれがどのような意味を持つか考えてもらいたい。
つまりリベラルアーツは『ホモ・サピエンス』として個体認識の諸端を形成するものとして成立し、正に「Art(アート)」のボビンとしての凝固剤となったのである。
それは「原始的Art(プリミティブアート)」からの脱却であり、「Art(アート)」への転換であるが、以後、歴史的に見てもホモ・サピエンスはある意味、リベラルアーツの成立後、次の時代が来るまで「Art(アート)」に対するこれ以上の形を有していなかったと言える。
故にホモ・サピエンスは余りにも長く、このリベラルアーツと言う「Art(アート)」への探求としてのあらゆる角度から物事に取り組め、根本原理を探る進化の方法以上の有効な方法を見つけることなく、またヒューマニズム(人文主義)の萌芽後、これ以上の方法を探る必要も無かったともいえる。
但し、次の時代が来るまでと言っておき たい。
次の時代とは何か、
それは「近現代」である。
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