優等生

元々前話と今話で一つの話だったんですが、諸事情により変えました!


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side姫奈


私は月影くんが担架で運ばれて行くのを指をくわえて見ていることしか出来なかった。この手が恨めかしい。人に触るだけで全ての情報が頭のなかに入ってしまうこの手が。


私は担架で運ばれていった月影くんについて行く。担架は保健室の中に入って行き、ベットに慎重に月影くんを降ろしていく。月影くんを降ろした人たちは何処かへと行ってしまった。


「これは重傷だねぇ」


私はぱっと振り向きました。そこには保健室の先生がおられました。私は先生に懇願しました。


「先生ッ!治りますか!」

「仕事だしね。これくらいならたやすいよ」


先生がそういうと先生と月影くんの周りに光が集まっていきました。その光景はすごく神秘的で綺麗でした。


「【昇華】」


先生がそうつぶやくと傷が治りはじめます。折れていた腕が徐々に正しい骨格の作りに戻って行きました。こんな異能初めて見ました。


ボロボロになった生徒が保健室に行った途端、傷がさっぱりと治っていたのを思い出します。その生徒は何事もなかったように普段通りに学校生活を送っていました。私は先生に感謝します。


「先生。ありがとうございます」

「いいって。これくらいたやすい」


先生がそういった途端――月影くんは呻き始めました。

苦痛の表情を浮かべていました。


「……アァァ…アアア」

「先生!!これはどういうことです!?」


先生は下を向いて考え始めます。やっと顔を上げたと思うとこういいました。


「え?」


先生が異能を使うまでは苦痛の表情を浮かべていませんでしたし、気絶しているときは、気持ち良さそうにぐっすりと眠っていました。先生の異能の効果であることは明らかです。


「私の異能は治癒をするものではない」

「どういうことです?」

「私の異能は姿ものなんだよ」


あるべき姿に戻す?ではこれは……


「……これが本来のあるべき姿なのかもね」


そう言われて私は納得します。異能とは自らの心を体現していると言われています。心の弱さ。醜さ。憧れ。特に出やすいと言われているのが心の弱さなのです。彼の異能から鑑みるに、彼の心というものは元々のでしょう。それが何かしらの影響を受けて、封印されていたと考えるのが妥当でしょう。


「そうですか」

「おや、その様子では気づいていたか」

「元の封印されている状態に戻すということは出来ますか」


私は駄目元でそういってみます。先生の【昇華】では封印されている状態に戻すことは出来ないと心では分かっています。


「無理だね。君も気づいているであろう」

「そうですか」

「……悲観することはない。これは彼のほんの一部に過ぎない。誰かは知らないが封印の力が強すぎた。」


これは彼のほんの一部だという。ならば彼はどれほど―――――


私は月影くんに声をかけます。


「大丈夫。私がいるよ」


今日くらいは優等生じゃなくてもいいと思う。それで月影くんに寄り添えるのなら。


そう私が声をかけると安心したように寝息を立て、月影くんはぐっすりと寝はじめるのでした。


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如何がでしたでしょうか。これから主人公と姫奈について 

深堀していくことが多くなっていきます。


星やレビュー、ハートや応援コメントが筆者の励みになります!

それではっ!


P.S. PVが何と500を超えました。14話までしか出しておらず、公開して三日の作品のはずなんですが……

いつも読んで頂いてありがとうございます!!感謝です!

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