転入生~決着 side姫奈
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side 姫奈
私はいつも通り学校に行きました。朝のホームルームでは転入生を紹介するらしいです。少々驚きました。この時期に転入生は珍しいからです。先生に連れられ、教室に転入生が入ってきました。
その方は背丈が大きいですが、獅童さんほど大きくはありませんでした。その方は先生に言われて、自己紹介をしました。
「月影壊です。この学校に来る前は普通の学校に通っていました。これから三年程よろしくお願いします」
特別クラスに入る生徒なので仲間なので、私は拍手をしました。それから徐々に拍手は大きくなっていきました。
「よろしくね。じゃあ君の席は……」
「あそこね!」
と先生が指し示した先は私の隣の席でした。月影くんは私の席の隣に腰を下ろすと、「よろしく」と声をお掛けくださいました。
私は人に話かけられることは少ないので少しあわあわしてしまい、慌てて
「あ、うん。よろしくお願いします」
優等生らしく模範解答で返事をしました。
それから月影くんは教科書を持っていなかったので、私のものを見せることになりました。私は自分の手で月影くんに触れないようにしました。気を張っていたので、よく月影くんの方を見ます。月影くんは熱心に授業を受けていました。だけども少しお疲れのようでした。たまに目をこすったりしていて、眠たそうにしていますが、きちんと起きています。分からないことがあると私に小声で聞いてくださいました。
私は友達がいないので私を頼ってくれる人はいません。私を頼ってくれた。
それが無性に堪らなく、嬉しかったのです。
授業が終わりお昼休みとなりました。お昼休みになるなり、月影くんは私にお昼ご飯はどうするのか?と聞いてくださいました。また私を頼ってくださいました。
「お昼ご飯は無償で提供されます。食べる時間が少ないので、早めにとりに行くことをオススメします」
とまたも模範解答でそういいます。ただ月影くんはそれを聞くなり、机に突っ伏して寝はじめました。眠たそうにしていたので限界なのでしょう。私はぎりぎり食べきれる時間まで待って月影くんを起こそうとしました。
けれど月影くんの目の前に獅童くんが立ちます。月影くんは気配で起きたようでした。月影くんが起きるなり獅童くんは少しだけ怒りながらも『決闘』をしよう。といったのです。
これには私も驚きました。ただ月影くんは学校に来たばかり。当然断ると思っていましたが、何と『決闘』に了承してしまったのです。
月影くんは気圧を支配して戦います。一発でも攻撃が当たったら一溜りもありません。私は止めようとしますが、月影くんと獅童くんは立ち上がり、行ってしまいました。
それを見たクラスメイト達も立ち上がり、訓練場に行ってしまいました。教室に取り残されたのは私一人。月影くんが心配になって私はその集団を追いかけます。
私が訓練場に入ったときには、もう決闘が始まっていました。月影くんは、炎を纏って遠距離攻撃をしていました。だけど獅童くんには全く聞いていません。それもそうです。炎と真空。相性が最悪なんですから。
そもそも私は今だ続く決闘を見て何かおかしいと思いました。特別クラスの転入生。それもこの時期。なのに炎を出すという異能力は弱すぎます。
そして獅童くんの周囲の酸素がなくなっていき、月影くんに勝ち目が無くなりました。獅童くんは容赦なく、地を蹴って月影くんに肉薄します。
「―――ダメッ!!」
私の叫びも虚しく、嫌な音が木霊しました。クラスメイトは顔を背けます。私は訓練場の2階から1階に飛びおりましたが、着地がうまく出来ず地面に転がってしまいました。
私は立ち上がり、月影くんの方へと駆けていきます。月影くんの惨状を見ました。腕が変な方向に曲がってしまっています。ただこれくらいなら、保健室の第五型の回復の異能を持つ先生方に治して貰えます。でも油断は出来ません。
なるべく早く保健室に連れて行かなければ。
その一心で持ち上げるため月影くんの背中に手を入れました。否、手を触れてしまったのです。
私の異能【完全掌握】が発動されました。私の中に月影くんの全てが私の脳内に入っていきます。身長、体重、異能などの情報が入っていき、脳の容量を超える。そう思った時でした。当たりに突如出現した雷と炎が混ぜ合わさって融合し、私に向かって襲ってきました。
炎と雷をぎりぎり避けることに成功しました。私の元いた場所は大きい穴が出来ました。私はいつの間にか【完全掌握】が解除されていることに気づきました。
月影くんに手を触れてしまったのは私の不注意でしたが、炎と雷は月影くんを守っているように思えます。私の【完全掌握】が
少しだけ月影くんの情報が頭に残ります。他の人なら記憶まで除いてしまうのに。私は月影くんの異能は炎を出す能力です。けれども先ほどは雷も出現させていました。
私はここでようやく彼の異能力に気づき笑ってしまいます。異能の詳細が頭に入ってきます。けれどこれは月影くんには言わないことにします。
だって【鮮血の王】なんて月影くんには似合わないですから
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この作品で自分が一番大好きなキャラクターを登場させることが出来ました!
ありがとうございます!
鮮血の王についても少しだけですが触れることが出来ました!
ここまでご覧いただきありがとうございます!
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