第89話
どれぐらい時間が経ったのだろう?
実際にはほんの数分だったらしいが、俺にとっては何時間にも思える程長く感じた。
意識が朦朧としていくのを感じながら、エレンが俺の手を握っているように思えた。
「すまなかった。ヘイマンス殿を巻き込んでしまい、そして私が起こした不始末の為、一番動いては駄目な時にこうして無理をさせてしまった。」
エレンが謝罪をしているが、俺は何も答えられない。
「エレン様、このままではヘイマンス様が耐えられません。一度・・・・ないと・・・・エレン様が・・・・すれば・・・・」
オリビアさんが何か言っているようだが、上手く聞き取れない。
「いいのだろうか・・・・時間が・・・・後で幻滅・・・・最初から望んで・・・・」
エレンがオリビアさんと何か言っているが、もう何を言っているのか聞き取れない。
熱い!体中が熱い!
俺はエレンが掴んでいる手を振り払い、その時手に触れた何かを抱き寄せた。
ひんやりしていて気持ちがいい・・・・
体の熱さが改善すれば、との思いから俺はひんやりする何かを思いっきり抱きしめた。
やがて考える事ができなくなり・・・・
俺は意識を手放した。
・・・・
・・・
・・
・
清々しい朝だ。
俺はよく寝たなあ!と思いながらベッドから体を起こした。
目が覚めて起きたはいいが、見覚えのない部屋だった。
確かルーンの間とかいう部屋に連れられて・・・・そこで寝かされた所までは覚えているんだが、その後はまったく記憶にない。
着替えも済んでいるようだし・・・・うん、記憶にないぞ。
あれだけ悩まされていた身体の痛みもおさまっているし、確かエレンの実家に来る前は体の中が熱くなっていたような・・・・俺の記憶違いか?
そんな感じは全くない。
それに今だったら何でもできる気がする!
あ、喉が渇いた・・・・
『お水ですね、さあどうぞ。』
お、気が利くな。
「ありがとうウィンディーネさん。」
『お気になさらず。』
ウィンディーネさんから貰った水は、控えめに言って美味しかった。
単なる水のはずなのに、何故だろう。
相変わらず母性溢れるウィンディーネさん。
あれ?そう言えば精霊さんと接するのって久しぶりな気もする。
うーん、何だか最近の記憶があやふやだ。
喉の渇きは水を飲んだ事により潤ったので問題ない。
グ――――――――――――――――!
で、お腹が空いている事に突然気が付いた。
もう物凄い音だった。
「おはようございますヘイマンス様。お食事をされますか?」
されますされます今すぐに!
「もう腹ペコだよ。」
俺はオリビアさんに返答をしつつ、ベッドから起き上がりドアに向かって移動をしよう足を床につけた。
で、立って歩こうとしたんだが、妙に足へ力が入らず、そのままよろめいた。
うわ!また倒れてしまうのかよ!
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