第87話

 エレンの実家に到着した。


 何か知らんが俺は魔法で持ち上げられ、そのまま寝かされた状態で移動・・・・いや、歩けるって。


「ヘイマンス様、もう少しでルーンの間です。」

 俺の魔法でも、精霊でも駄目だったのに・・・・ルーンの間って?

「ルーンの間って何?」

「私の見立てでは、現在ヘイマンス様はうまく魔素を取り込められない様子ですので、エッフェン家では他家より進んだ魔素の研究を行っており、ルーンの間では自力で魔素を体内に取り込むのが難しい況下において威力を発揮する部屋です。ですのでルーンの間に於いて魔素を取り込めるのではないかと、状況改善を試みて頂きたいのです。」


 俺の不調は魔素不足ってか?

 成長痛は違ったのかよ!と突っ込みたくなるが、確かに俺の魔力は一気に増えた。

 そしてこの成長痛だ。

 理解できない変化もあったりする・・・・のだろうか。

 そしてオリビアさん、答えてくれたものの、答えになっていない。

「いや、そうじゃなくってルーンの間って何なんだ?」

「ルーンの間をご存じなかったのですね。簡単に言えば、この地で一番濃厚な魔素が湧き出ている場所です。」


 ・・・・知らなかった・・・・今まで興味が無かったというより、知る必要が無かった、むしろ知ろうと思う知識が無かったから・・・・勉強しよう。

「何でエレンの実家にあるんだよ。」

「むしろエレン様の実家だからこそある、と申すべきでしょうか。」


「御免ますますわからない。」

「・・・・では、各地にダンジョンが存在するのは御存知でしょうか。」

「それは知っている。俺が住んでいる【メイエリング】にもダンジョンがあるな。」

「では領地には必ずダンジョンが1つ存在する、という事はどうですか?」

 そうなのか?いくつもある場所って無かったのか。

「領地にはひとつしかダンジョンがないのか。」

 思わず呟いてしまったが、オリビアさんには自身への質問と受け止めたようで、

「では簡単に、領地の成り立ちについてお伝え致します。」


 何か凄い情報があると思ったのだが・・・・

「諸説はありますが、ダンジョンが発見されると周辺に魔素が濃く発生する場所が必ず1ヶ所見つかります。」

 そうなのか。

「そして魔素が濃い場所が他にも複数見つかりますが、一番濃い場所に比べれば大した事もないので、こちらは放置です。そして魔素が一番濃い場所に領地の中心を設置致します。」

 領主って魔素の管理人なんか~い!

「で、今回ヘイマンス様が問われましたルーンの間に繋がるのですが、ルーンの間が先程お伝えした一番魔素が濃い場所となり、ルーンの間を中心とした建物を建立し、そこを領主が住む屋敷や城として建立、住む事となります。」

 これで簡単な説明ってんだから驚きだ。

「じゃあさ、俺が買ったような屋敷って何?」

「ああした屋敷の中心が、他の魔素が濃い場所です。」

 知らんかった・・・・といううか知らないまま買うな俺!そして売るなよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る