第85話
エイサッケルス男爵の話によれば、領主である男爵よりも俺の方が立場は上、という事らしい。
何で?と思ったが、どうやらダンジョン100層を攻略した事に由来するようだ。
そんな事知らなかった!ダンジョンから戻ったら誰か教えてくれよ!
どうやら【フィリッピュス王国】にはダンジョンは複数あるようだが、100層を超えるダンジョンは限られており、【メイエリング】では俺がエレンと共に挑んでいたダンジョンだけらしい。
他にもダンジョンはあるものの、皆せいぜい50層程度なんだとか。
で、ダンジョン100層を突破するという偉業は、ここ10年以上誰も達成できておらず、【フィリッピュス王国】はダンジョン100層を冒険者に攻略してもらうにあたり、1つの政策を打ち出した。
それが100層を攻略した者には、本人以外には引き継がれないものの、爵位、それも子爵位相当を叙爵するという、大盤振る舞いすぎる報酬だ。
貴族達からは反対意見が多かったものの、100層を攻略できる冒険者が10年に1パーティーあるかないかだった為、結局は黙認される事になった。
で、何故男爵位ではなく子爵位なのかと言えば、100層を超えるダンジョンが存在しているのは、大多数が男爵の治める地だったからである。
同等の爵位であれば後々問題になる。
それ故に子爵位となった。
だがこれには裏があり、こうした男爵が治める地方の街を纏めているのが地方都市、それも子爵位の貴族。
更にこうした地方都市を纏めているのは伯爵位であり、100層攻略を成せた冒険者はほぼ例外なく大都市に移住させてしまうそうだ。
俺はまだ100層を攻略したばかりでまだそう言った話も、連絡すらなかったが・・・・ここで問題が。
闇の勢力の事があり、俺はエレンの実家へ向かう事になった。
そこで道中、此処【エイサッケルス】という街に1泊する事になったが、当然ながら殆どの住民は俺の事を知らない。
で、俺はならず者達に目を付けられ、実際狙われ拘束されかかっていた。
しかし俺は子爵位相当であり、子爵が男爵が治める領地で襲われるという、あってはならない事件が発生したのだ。
幸い?な事にこれと言った被害もなく解決、無事俺も解放されたが、男爵は報告を聞きお家の危機だ!と取り急ぎこちらに向かった・・・・で、今は俺と対面している、こんな感じらしい。
うん、さっぱり訳が分からん!
ただ、オリビアさんがしっかりと対応してくれたのでありがたかった!
エレンはあくまで話を聞いただけで、特に反応しなかった。
一通り話が終わった後、エレンが男爵様に質問していた。
「では、ヘイマンス殿が何故襲われたのかこれから調べる、と。」
「実はよく分かっていないのですが、なにやら賊の申す事を信じるならば、本来であれば襲うつもりは微塵もなく、襲った相手は面識がなかった、そして理由がない、の一点張りのようで。しかし襲ったのは事実。しっかりと取り調べを行い、何故こうなったのかきっちりと調べ上げます。」
これ、また闇の勢力じゃね?
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