第84話
「エレン様、どう対処いたしましょうか?」
「領主は今どこにいる?」
「貴賓室に待機しております。」
「ここには来させたくはない。今から向かおう。」
「では私が伝えに参ります。」
「頼んだぞ・・・・ではヘイマンス殿、部屋に到達そうそう申し訳ないが、一緒に来て頂きたい。」
「あ、ああ、わかった。」
やはり領主って身分が低いんだ・・・・エレンの実家ってかなり身分が高いって事か!
まあ俺は平民だから底辺?絶対俺より身分が上なはずなのに、どうでもいいくだらない事を考えつつ、俺はエレンに手を引かれ付いて行った。
で、部屋の前に到達した時ふと思った。
領主ってエレンと会う為に来たのであって、俺必要なくね?と。
「エレン、俺はここにいる必要ないよな?」
領主がここに来たのはエレンがいるからだ。
「何を言っているのだヘイマンス殿は。男爵殿はヘイマンス殿と会うためにやってきたのだ。私は実家へ戻ればいつでも会える。だがヘイマンス殿は違う。」
いや、連絡さえあれば今は屋敷持ちだし?貴族が平民を呼び出したらダンジョンにでも居ない限り直ぐに向かう必要あるはずだ!
「そうは言うけれど、エレンって実家へそう何度も戻っていないんだろう?」
「確かに数年ぶりだった。そもそも実家から出て初めて戻った。冒険者ギルドに連絡すれば手紙のやりとりはできる。だが折角男爵殿がこうして来ているのだ、会っておくのも悪くないと思う。」
目の前には男爵が・・・・やっぱり領主は貴族!俺みたいな平民が直接話そうなんて考えられない存在だ!
だが無情にも扉が開き、オリビアさんが手招きしている。
「エイサッケルス男爵、お2人が到着致しました。」
すると中から若い男性が出てきて、、奥にはお年を召した男性が控えているのが見えた。
「ご足労をおかけして申し訳御座いません、エレン・エッフェン卿、それにヘリット・ヘイマンス卿。私エイサッケルス男爵が長子、ヴェッセル・ファン・エイサッケルスと申します。」
男爵様の長子、つまり嫡男だよな?
「エレンだ。先程の件と察する。ヘイマンス殿は疲弊している故、手短にお願いしたい。」
「分かりました。では早速ですが父から伝えたい事があるので、中で・・・・」
俺、ヘイマンス卿って言われた!貴族の、それも男爵様の嫡男から!
俺はどうなった?
いつの間にか身分持ちになったのか?そんな記憶は無いんだが。
それにエレンも卿呼ばわり!
俺の知らない事実がまたあるのか?
エレンはメイドさんを伴って室内へ。
俺と言えばオリビアさんに促され、同じく中へ入った。
で・・・・たぶん上座だよな?俺とエレンは上座に案内され、当然のように嫡男様・・・・ヴェッセルさんは下座に!
メイドさんとオリビアさんはそれぞれ、エレンと俺の後ろに控えている。
「こ度は大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませぬ。私が【エイサッケルス】の領主、ローデヴェイク・ファン・エイサッケルスと申します。エッフェン卿に於かれましてはご無沙汰しております。其方がヘイマンス卿ですな。お噂はかねがね。」
噂って言った!
こういう時俺はどうしたらいいのだろうか。
何故か男爵様が下手に出ているんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます