第81話

 アクアさん改めウィンディーネさんが水の壁を展開、凍らせて不届き者を閉じ込めたが大人しくしているはずもなく、派手な音が中から聞こえてくる。

 どうやら持っていた武器で氷の壁を砕こうとしている音らしいが、今の所効果はなさそうだ。


 まあ、アクアさんの時でさえダンジョン100層程度であれば、魔物を簡単に仕留められるんだ。それなりの実力程度では壁を破壊するのは無理だろう。


 こうして俺の安全は確保されたが・・・・あれ?エレンはどうした?


 メイドさんがオリビアさんに、

「こちらをお願いします。私はエレン様の所へ行ってまいります。」


 メイドさんは去って行った。

 そんな中、オリビアさんが何処から出したのか、ロープで先程引きずってきたボロ雑巾状態の狼藉者?を縛り上げていた。

 うーん、やはり謎な人物だ、オリビアさんは。


 暫くしてエレンはメイドさんと共に戻ってきた・・・・やはり拘束された知らない2人を引きずって。

 引きずるのが流行りなのか?


「領主に連絡済みですので、すぐに駆け付けるでしょう。」

 メイドさんが教えてくれたが、領主ってそんな簡単に連絡が付くのだろうか?


『大丈夫ですわ。先程土の精霊達が先行して知らせておりましたから・・・・来ましたわ。』

 ウェンディーネさんが答えてくれたが、


『じいちゃんならずっと其処に居るぞ。』

 今じいちゃんは俺の直ぐ近くで控えてくれているんだ。だから・・・・あ!孫か?孫なのか?

 確か凄く軽いノリで接してくれていた記憶がある。

『『『毎度おおきに・・・・ほなさいなら!』』』

 ・・・・意味が分からない。

『まあ、知らせてくれたんならいいが、よく道が分かったな?』

『ほない事言われましてもなあ、向こうに大きな建物見えまっしゃろ?あそこに違いないとすぐわかりますやろ。』


 よく見れば、道の向こうにデカいのが見える。成程あれが領主がいる建物か。

 あれでは分からないと言っても迷わないな。


 で、ウィンディーネさんの言う通り、誰かが・・・・馬でやってきた。

 多分領主直属の衛兵だな・・・・それとも私兵か?


 何やらエレンに頭を下げつつ、拘束している狼藉者を引きずって連れ去った。


「ヘイマンス殿、遅くなったが宿へ向かおう。」

「あ、ああ、まあ無事解決してよかったな。」

 俺はエレンと共に宿へ向かった。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 ヘイマンス達が出発して直ぐまで時は遡る。


「俺達も闇の勢力が残した足取りを追って移動するぞ。」

 ピンク・ポークと精霊リリスである。


 慌ただしく出発してしまったヘイマンス達を見送った後、ボプ達の痕跡を辿ったが、特に何も得られる事が無く【メイエリング】を出る事にした。

「もう行っちゃうの?」

「ああ、ヘリット君達とは反対側を調べてみようと思う。」

「えー明らかにあっちへ行っているよね?」

「そうなんだが・・・・明らかにミエミエな行動じゃないか。恐らくすぐに違う場所へ向かうはずだ。」

「わかったわよ!仕方がないわねえ。饕餮!行くわよ!」

 饕餮はリリスの尻に敷かれている。

 饕餮はリリスを乗せ、ピンク・ポークが自分に乗った事を確認し移動を開始した。


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