第25話
体の節々がいた・・・・くない?
あんな体勢で寝ていたにもかかわらず、寝起きは非常に良い、むしろ清々しささえ感じる。
俺は一体どうしたんだ。
隣ではエレンが相変わらず寝ている。
エレンって本当に高ランク冒険者なのだろうか。
いくらここが安全地帯とは言え、あまりにも無防備過ぎる。
あーこれはやっぱり俺、男として見られていないな。
エレンと知り合った直後はあんなに積極的とも思えたのだが・・・・やはり年齢=彼女いない歴の俺には女の事が分からなかった・・・・勘違いって怖いな。
この時俺は確かに勘違いをしていたが、真逆の勘違いとは気が付いていなかった。
現在進行形な俺を未来の俺が見ていたら張り倒されていたであろうが・・・・拗らせ怖い。
起きて暫く準備運動を行い体を慣らすが、何故か周囲に精霊の気配を感じない。
何処へ行った?
体がほぐれた頃、エレンはテントの中で起き上がっていた。
俺はふと嫌な予感がし、急いでテントに戻る。
「おしっこ・・・・」
乙女が男の前で言っちゃあいけない言葉を発し、その場でズボンを脱ぎ始める・・・・うわ!寝ぼけているのか!
俺は急いでエレンの手を止め、外へ連れ出した。
簡易トイレが用意してあるので、エレンを簡易トイレに押し込み、俺は回れ右をした。
その後、用を足し終えたエレンはテントへ戻り、寝床へ・・・・まだ寝るのか?
・・・・
・・・
・・
・
今回、事前にダンジョンアタックを経験?をするにあたり、食事は携帯食のみという縛りを課した、否、課された。
何故ならば、普通の冒険者は生モノを日持ちさせる術がないので、どうしても食料は保存のきく携帯食になる。
だが俺は今まで主に草原で活動していた。
臨時パーティーを組んで森へ赴く事はあったが、俺の活動スタイルが受け入れられず、未だかつて長期間にわたってパーティーに加入できた事がない。
いや、今はエレンと組んでいるんだっけ。
尤も長続きするかどうかは分からないし、明日には別のパーティーに潜入する予定なので、エレンとのパーティーは明日合流するまで、だ。
おっと、話が脱線してしまった。
つまり俺は今まで周囲を精霊達に護られていたので、草原でも竈でしっかりと調理でき、いつも温かく美味しい料理を食べられていたから、携帯食って食べた事が無かったりする。
水に関しても、水の精霊アクアさんが必要な時に提供してくれるので、街の外で活動する時はいつも荷物は軽めで済んでいたんだ。
で、今は携帯食とにらめっこ中だ。
正直言って美味しくない、むしろ不味い。
長期間にわたりダンジョンアタックをするにあたり、これはいただけない。
わずか数日だけの間に食べた携帯食はパサパサで、口の中で水分を持っていかれてしまう感覚だった。
なので一度竈で鍋を使うにあたり水を入れ、携帯食を入れスープのようにしてみたが、これを最初にした時エレンに怒られた。水分は貴重なので、通常そんな事はしないし出来ない、と。
うーん、食事に関しては厳しい指摘のエレンだったが、今更だがテントとかベッドはよかったのだろうか。
まあ背負って持ち込めないサイズではない・・・・のか?
「ヘイマンス殿、私はヘイマンス殿が精霊達に頼み、常人であればできない事柄をできている事に関して否定はしないが、今回はあくまで一般の冒険者がダンジョンでどう活動するのかを前もって経験してほしいと思っている。だから普通の冒険者がダンジョンで口にするもの以外は避けて欲しいのだ。水もそうだ、重たい。今回短期間なので私達は少量で済んでいるが、通常ダンジョンアタックは最低1ヶ月、長いと半年近くダンジョンから出られない。尤もダンジョン内には特定の場所に泉があるのでいかにしてその場へ辿り着けるかが生死の分かれ目なのだ。分かってほしい。」
今回はあくまで数日後に備えての予行練習的なので、俺にも他の冒険者と同じ事をして欲しかったようだ。
いつも短めの話しかしないエレンが熱く語ってくれた。
あー、もっと事前に打ち合わせをしておけばよかった。
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