第24話

 若い女性と一緒に寝る。

 そう言葉にすると凄いようだが、実際はダンジョン内での仮眠、それも簡易的なテントでの雑魚寝?だ。


 それでも俺はエレンが手の届く所で寝る、という事で興奮してしまったようだ。

 何せ相手は呪いのせいでガチムチみたいな姿だったのが、解呪できた途端に本来の姿へと戻り、その姿が小柄で細身、超絶美少女というのだからもう手に負えない・・・・何が手に負えないかは知らん。


 エレンと初めてパーティーを組んでの宿泊。

 興奮している俺とは対照的に、エレンはあっという間に寝てしまった。

 俺、男として見られていないのだろうか。


 で、綺麗な顔が近くにあるのでますます寝れん!と思ったその時、土の精霊であるじいちゃんが現れ、とあるお願いをされた。

『すまんがちょっと頼まれて欲しいのじゃが。』


 じゃがって芋の子事か?違う?

 エレンが無防備に寝てしまって、テンションが変になっていたようだ。

『それは今しなくちゃいけない?』

 じいちゃんに声を掛けたのだが、風の精霊シルフさんも居たようで、

『折角ダンジョンに来た事だし、アンタはここで寝ていればいいから、その間に私達が下の様子を見に行ってあげようって言っているのよ、フフン!』

 何がフフンなんだ?

『シルフさん、それではヘリット様に伝わりませんわ。ヘリット様、数日後に曰く付きの冒険者とパーティーを組み、ダンジョンの攻略をなさるとか。不測の事態を避ける為、私達が事前にダンジョンを調べて対策をしたいと思いますの。』

 水の精霊アクアさん、誰かさんと違い簡潔に、かつ分かり易く説明してくれる・・・・流石だ!

『もちろん私達の誰かが常に無防備なヘイマンス殿を見守りお護りすると約束致します。どうかお認めを、そして申し訳ありませんがこのまま地脈と繋がって頂きたい。』

 火の精霊サラマンダーさんがお願いの内容を伝えてくれたが、寝ている時に地脈と繋がる事が出来るのか?

『まあ物は試しじゃ、是非ともやって欲しいぞい。』

 うーん、地面に直接突っ伏さなくても出来るのだろうか。

 出来ればテントから出たくない!

 折角エレンが隣で寝ているのに!

『そこは要検討じゃぞい。儂が思うに、恐らく其方が地面に突っ伏すと、心の臓が地脈に近づく事で繋がる、とにらんでおるのじゃ。』


 このままうつ伏せで寝てしまうと、疲れは取れるのだろうか。

 無念の死を遂げた冒険者達の為にも試すか・・・・会った事もない人間の事を考えるのは、何だか不思議な気持ちになる。

『わかった、やってみるよ。』

 俺はまずテント内でうつ伏せになった。このまま成功すればいいのだが。

 そう思って地脈と繋がるべくいつものルーチンを行った。


 気が付けば朝だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る