第387話 フスハレの冒険者ギルド2

 翌朝、フェルバーたちの呼び出しにシミリートが代表して訪問する。

「魔物の討伐の報奨を代官から頂いた分配になります。それと、失った馬の追加調達など少し時間がかかりますので、この街で数日滞在することになります」

「承知しました」

「ところで、この街の冒険者たちとは上手くやれていますか?騎士団や魔術師団だけで山脈の魔物退治はできないので彼らと連携する方が良いのかと思いまして」

 ニキアスが言うように、魔術師団員の中でも話し合った結果らしい。魔物発生の元凶らしい吸血鬼を探すことは簡単ではないと思われるので、冒険者たちと大集団を作って山脈を越えるのが良いのではないかとの話になったようである。


「実は、我々と同様に馬を失った騎士団が先にこの街で馬の調達をしようとしたのですが、彼らはそこに居るだけの馬を買い占めようとして揉め事を起こしたようでして。冒険者たちからも苦情があるためこの街に居づらくなり、このまま東に進むのではなく、少し南側のルートを試すと出ていったようです。本来ならば魔術師団の我々は彼ら騎士団と共同戦線を、というのが筋なのでしょうけれど、そういう状況でして」

「彼らのことも尊重し、報酬もきちんと分配すれば冒険者の皆も協力してくれると思いますよ」

「ありがとうございます。仲介をぜひお願いしたいのです。ただ出発は、馬の入荷があるのが数日後らしいので、それより後になります」

「承知しました」


 早速というので、シミリートはニキアスに付き添って冒険者ギルドを訪れ、魔術師団が冒険者たちと一緒に山脈の魔物退治に向かうことについてギルド職員と条件のすり合わせを行う。

「そうですね、魔法使いの方と一緒だとありがたい冒険者も多いですが、徒歩の者も多いので」

「私たちは山脈を越えるのが目的なので、皆さんには峠道を越えたところでこちら西側に引き返して貰う前提でも良いでしょうか」

 議論の結果、6日後の昼、山脈の麓の森を越えたところで集合ということで移動手段は各自に任せるという条件に落ち着いた。もちろん倒した魔物は各々の手柄にするが、決められない場合には冒険者側に譲るという条件も魔術師団側が飲み込んでいる。

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