第384話 アナスガーからの評価
戦闘しながら下山したので、フスハレの街にたどり着くのが騎士団より2日ほど遅くなった魔術師団。
宿の手配などを部下たちに任せた中隊長フェルバーと副官ニキアスの二人は代官館に赴く。
「魔術師団員はやはり馬の扱いが苦手なようだな」
先に到着していた騎士団のワイスブロット中隊長の嫌味は軽く受け流す。
「フェルバー大尉、ご活躍いただいたそうで」
代官である子爵アナスガーからは評価される。
「な!」
それを聞いたワイスブロットが不満な顔をするが、アナスガーが言葉を続ける。
「先ほど副官のニキアス殿から頂戴した討伐した魔物の数を確認しているだけです。何よりワイバーンも仕留めて頂いたこと、フスハレとしてはありがたいことです。もちろん、騎士団の副官ザットラー殿から頂戴した討伐数も拝見しております。先日も申し上げましたように、登山の途中までのハイオークなどの数に感謝しております」
「我々の方が先に街道の魔物を減らしたから、彼らは順調に進めたはずですぞ」
「もちろん、そのことを否定するつもりはございません。帰路では魔術師団の皆さんの方がたくさん退治されたこと、山の上での上位魔物の討伐数が多かった事実を申し上げているだけです」
ワイスブロットは納得いかない顔で不満そうではあるが口をつぐむ。
だがアナスガーの発言は終わらない。
「しかし、冒険者たちからは騎士団の皆さんは彼らのことを考えない独善的な行動ばかりとの苦情が上がって来ています。ご存知のように今このフスハレは山脈の魔物退治に対して冒険者たちに助けられています。彼らと協調路線を歩めず、逆に冒険者が逃げてしまうような行動は反逆行為とも取れます。厳に謹んでいただきますようお願いいたします。その旨は領主にも王都にも報告いたします」
ワイスブロットはロクな挨拶もしないまま退出していく。
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