第383話 撤退の西への下山2
王国騎士団も魔術師団も、モンヴァルト山脈を越えることは諦めてフスハレの街に一旦戻ることにしたものの、すぐに帰り着くことはできない。
峠道から下ったところで野営を行ったが、裾野の森にたどり着くまでには上位ハイオーク、森の中ではハイオークたちとの戦闘が発生する可能性がある。
騎士団も魔術師団も馬をなくして相乗りしている者が足手まといになる可能性もある上に、特に騎士団は武器を失っている者もいる。
精彩を欠いた騎士団ではあるがプライドだけは存在する。そのため
「魔術師団の下手な馬乗りに合わせると遅くなってしまう。我々は先に行く」
と宣言して先に出発して行った。
「良いのでしょうか?」
「仕方ないな。我々は自分たちのペースを崩さないように下山して行こう」
中隊長フェルバーと副官ニキアスは、騎士団の行動にため息をつきながら自分たちも出発を号令する。相乗りしている者もいるのと、確かに騎士団ほどは上手に乗馬できるわけではないため、下り坂を安全に進む。
「あれって」
しばらくすると遠目に騎士団が上位ハイオークたちに追われているのを見える。しかし流石というべきか、戦闘しないと割り切ったのか馬の脚を活かして最終的には魔物たちを引き離している。
「あのままだと、集まって興奮している魔物が近くの冒険者たちか、後から通る我々を襲うのでは?」
「かといって我々にはこの下り坂をあの速度で馬を走らせて逃げ切るのは難しいですよね」
「では?」
魔法の使い手そのものは減っていない魔術師団は、騎士団の尻拭いではないが、荒らされた魔物の狩場を片付けながら下山することになった。
当然にユリアンネたちも活躍をし、肉などの魔物素材を溢れるほど回収することになった。
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