第381話 ワイバーン戦

 ワイバーンに狙われたユリアンネを助けるため、≪頑丈≫のカイトシールドを掲げて前に飛び出し、≪刺突≫のショートスピアをワイバーンに向けて突き出すシミリート。

 その槍はワイバーンに刺さりはしなかったが、ユリアンネへの鉤爪による攻撃は回避できたようで、再び上空に舞い上がる。

「ユリ!」

 再度舞い降りてくるワイバーンに対して盾の武技≪挑発≫を行った上で、目一杯の力で槍をワイバーンに投げつける。ユリアンネもまだ練習が不十分な≪雷撃≫を発動する。思わぬ攻撃を受けたワイバーンが再び上空に逃げたところで、ゾフィが≪遠射≫のショートボウを活かしてワイバーンに矢を射る。

 ワイバーンに魔法の槍を突き刺したシミリートは、魔法の収納袋から以前に使っていたショートスピアを取り出し再び構える。ユリアンネも、ワイバーンが上空に逃げた隙に魔力回復ポーションを飲む。


 もう1体のワイバーンが騎士団を襲っていることや、足元にドレイクが近寄って来ているため戦馬が自己判断で西側に移動していることなども認知はしているものの、意識は上空のワイバーンに向かっている。

「来るぞ!」

 何度かゾフィが≪遠射≫していることに嫌気をさしたのか、再び勢いをつけて降下してくるワイバーン。シミリートは再度≪挑発≫を行う。

 ユリアンネは≪雷撃≫でも威力が不十分だったので、切り札である≪炎槍≫をワイバーンの腹部に目掛けて発動する。効果があったのか、降下というより落下に近くなった気配がするため、とどめとして≪雷撃≫を追加で発動しつつ、腹部に≪岩槍≫もぶつける。


 途中で意識が無くなったのかそのまま落下したワイバーンに対して、死んだのか確認するため魔法の袋に収納してみると、生物は収納できない袋に収納できたので一息つく。

「ユリ!逃げるわよ!」

 ユリアンネの気が緩んでしまったことを見たカミラの声で我に返り、シミリートと共に西側へ再び避難を開始する。

 近くにいた魔術師団員は、ワイバーンとの戦闘中にジーモントが避難させていたようである。

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