第377話 山脈の上部へ3
「いよいよ峠だな。地龍(ドレイク)に注意しないと」
集団の先頭を進むシミリートがユリアンネに話しかけるのか独り言か分からない声を出すが、ユリアンネもそれに頷く。
「ドレイクに私の≪火炎≫魔法は効果があるのでしょうか」
「テア、大丈夫よ。魔術師団員の皆さん、水系の攻撃魔法も使えていたでしょ?怪我を治療するだけでも貢献になるから」
前回のことを踏まえるとドロテアの不安も確かだが、あの時には鉄級冒険者も多く彼らの近接攻撃はドレイクの防御を破れなかったこともあった。敵の数にも寄るが、こちらには魔法使いが20人近く居るので悲観はしなくても、とユリアンネも思ってしまっている。油断してはダメと理解しているのだが。
移動が平坦になり道の横幅も広がったので、自分たちも横に広がりながら前に進む。
しばらくすると地龍(ドレイク)が3体寝転がっているのを発見する。
「ドレイクが3体だ!」
シミリートの声に、気がはやった魔術師団員たちが上官の指示を待たずに前に出て攻撃魔法を発動していく。
「やはり火魔法は効いているのか分かりにくいな」
「鱗は硬そうだから、≪風刃≫も微妙だな」
「≪氷槍≫や≪氷刃≫を腹側に当てるのが一番のようだぞ」
色々と試行錯誤した結果を仲間にもわかるように共有しているが、油断したのか近づき過ぎて炎のブレスを受けてしまう者も出る。
「ブレスだ!壁魔法を活用するぞ!」
敵の数が少なく足が遅いこともあり、こちらは遠隔攻撃ができるため集中攻撃することでドレイク3体を倒し切ることはできた。
ブレスを受けてしまった団員と馬に治療をするユリアンネとドロテア。
『ちょっと油断しすぎよね。近づき過ぎ』
「これはまずいですね。完全に舞い上がっていますよ。一度きちんと締めなおさないと」
「確かに。しかし、この後に本格化するはずのドレイクへの対処の練習になったのも確かだし……」
フェルバーの甘さから団員を強く指導できないまま、先に進むことになってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます