第357話 フスハレへの道中2

 野営中にオークの集団に襲われた魔術師団員と“選ばれた盟友”。馬車があるわけでないので、いくつかの焚き火のまわりに散って寝ていたため見通しは利く。

「できるだけこちらに集まってください!」

 魔術師団員達でも、詠唱を必要とする者や、火力の弱い魔法までしか使えない者などは、Dランク魔物のオークといえども個々で対峙するのは不安である。そこで“選ばれた盟友”のシミリートたちが場所を確保した中に避難した上で、遠隔攻撃をして貰うのである。


 ユリアンネが≪炎壁≫を幾つか発動してオークの行動を制限するが、他の壁系の魔法を使える団員達も活躍しているようである。

「我らは王国魔術師団、オークなんぞに遅れは取らない!」

 主に≪火炎≫や≪火槍≫を発動して明るさも確保しながらの攻撃をユリアンネとドロテアは行うが、火属性が苦手な団員はその他の属性の攻撃魔法を使用している。初級光魔法≪灯り≫よりも広範囲を明るくする魔法を使用するものも居た。



 平原の中での野営であったため、夜でもある程度は周りが見渡せる。

「その1体が最後だ。よし!これで撃退完了だ」

「みんな良くやった。しかしまだ夜だ。オークの死体は片付けて、怪我人は治療を行って睡眠の続きをとるぞ」

 久しぶりのまともな戦闘で興奮はしているが、翌日も終日移動であることを踏まえると、その兵長が言っている言葉もわかる。


 “選ばれた盟友”に怪我人はいなかったが、接近戦が苦手な魔術師団員には負傷した者も居たようで、ユリアンネとドロテアが手分けして回復魔法を使用する。

「ジモ、明日はオーク肉を楽しみにしているぞ」

 パッと見た感じ30体ぐらいのオークの死体があるので、ヨルクの期待に応えられると思われる。

「そうだな、治療も終わったようだし、俺たちも休むことにしよう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る