第356話 フスハレへの道中
領都ヒマーセンでは宿に一泊しただけですぐの出発になる。宿屋では約20人が集まれる場所がないため、街の東門の外へ出発前に集まったところで、副官のニキアスから情報共有を兼ねた指示があった。
「ストローデ領の様子は不明なままとのことです。モンヴァルト山脈の魔物はまだ居るようで、領主様から騎士団と魔術師団に撃退の依頼がありました。おそらく騎士団100名が我々より先に出発していることでしょう」
ニキアスの表現から、領主館ではあまり良いやり取りではなかったことが想像されるが、シミリート達はそのことには触れない方が良いと思えた。
気にはなりつつそのまま東に向けて出発する一行。
街道で昼食の用意をしている時にも、フェルバー隊長とニキアス副官がいつもと様子が違うままであり、楽しい雰囲気にはなれない。
他の団員達も事情を詳しく知らないのか、口数が少ないまま2人の様子を伺っている。
「はぁ、飯ぐらい美味しく食べたいよな」
「ヨルク!」
「雰囲気的に騎士団から何か言われたのかな。まぁ騎士団が100人も居るならば、これから先の魔物もどんどん狩って俺たちが楽できるようにしてくれると割り切ろうぜ」
「そうだな。だが、そろそろ魔物が出てくることを覚悟しないとな」
ジーモントの言葉が呼水になったのか、その日の野営中にオークが襲ってくる。
「皆さん、起きてください!オークです!」
一応は護衛として、魔術師団員達より多めに見張り番になっていた“選ばれた盟友”。カミラが金属鍋を叩いで皆を起こす。
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