第355話 ルオルゾン領主館2
「では改めて状況の共有と行こう」
「は。ご存知のように、ルオルゾン領とストローデ領の境にあるモンヴァルト山脈に魔物が溢れ出したままで減っておりません。そのため、ストローデ領の独立宣言の後も直接の戦闘行為は発生しておりません」
バーデ伯爵の指示で、その配下が状況の説明を始める。
モンタール王国の北側のピザリア神聖王国は先日王領に侵略して来た状況であるのと、この山脈による通行遮断があることから、ストローデ領の様子は南側のステルビア王国を経由しないと分からない。
狼煙台はストローデ領軍が押さえているからか使われていないし、伝書鳩については山脈を越える際に魔物に襲われるのか一通も到着していない。
「ということは、ステルビアを経由したと思われる使者が独立宣言を王都に届けた以外ではそれらしい情報が無いということでしょうか?」
「我々には直接その使者は来ていませんので、王都からの情報を得てから調査部隊をステルビア経由で送り込んだところで、まだ情報は入手できていないのです。調査部隊が見つかってやられてしまったというより、単純に移動距離が長いためまだ帰還できていないだけと思っております。何班かを順次送り込んでいるため、そのうちに情報も入ってくると期待しているのですが」
フェルバーの質問に、伯爵配下の者が答える。
「そこで、王国騎士団と王国魔術師団による山脈の魔物撃退に期待したい。Aランクの飛龍(ワイバーン)が複数目撃されており、ルオルゾンの領軍のみでは対処できないのだ。冒険者ギルドにも依頼は出しているが、途中にBランクの地龍(ドレイク)がさらに多数いるようで討伐がなかなか追いついていないのだ」
「バーデ閣下、我が中隊100名の力で対処いたします。騎士団にご期待ください」
「このような時に手柄争いなどせず、魔術師団とも連携して当たって貰いたい」
「は。まぁ足が遅くてついて来られない者の面倒までは見られませんが」
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