第352話 東進2

 川の凶暴な魚について魔術師団員も知らない者が居たようで、カミラたちの話を横で聞いた団員たちは、湖の見学も一緒に行きたかったと漏らす。

「まぁ無事に用事を終えた後は、ゆったりと色々を楽しみながら王都に帰ることにしよう」

 この集団を率いる隊長のフェルバーが隊員の想いを知った後、食事の際の皆に発言する。



 その程度のことのみの平和な移動のまま、王領から東、ローニョレ領も通り過ぎ、ルオルゾン領に入る。

「まだモンヴァルト山脈の魔物たちは残っているみたいね」

 ルオルゾン領の西端の街、ルードルフにおいて情報収集した結果である。


「我々が王都に来る際には、逆ルートですが、このルードルフから南のステルピア王国を経由して山脈を回避しました」

「通常の商人たちならばその選択肢を取るのが普通でしょうね。ただ、我々はストローデ領に少しでも早く到着する必要があります。それに、王国魔術師団員の誇りもありますので魔物から逃げるわけには……また先に行った騎士団員はきっとそのまま山脈を通るルートを選択しているはずですので」

 隊を率いるフェルバーとニキアスがそのまま東進を判断する。


「ユリはワイバーンの血を入手する機会だな」

「そう前向きなのはシミの良いところね。あの時は金級冒険者たちと合流できたから助かったけれど、今回は大丈夫かしら」

「確かに騎士団員や魔術師団員にそこまで強い人は居るのかな……」

「ま、シミとユリも強くなったしテアも増えたし、私たちも少しは強くなったんだから」

「カミラ、そうは言っても鉄級だからな、俺たちは。無理はできないぞ」

「フスハレの街まで到着した後に、もう一度判断を仰ぐことになるだろうな」

「シミ、頑張ってね」

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