第125話 憎しみが生むもの③
5階はさっき制圧した4階と同じような構造になっている。ただ吹き抜けになっているので6階からこちらを射撃を行うといったことも可能だ。構造だけで言うのならこの階層が一番敵に有利な構造になっていて警戒する必要がある。
弓削さんを先頭に俺たちは5階への侵入を開始する。階段を上がったところが一番密集した陣形となってしまい危険なので、上がるとすぐに俺たちは散開する。
散開している時にも5階に展開している敵はこちらを射撃してくるがすぐに遮蔽物に隠れることによってどうにかしのぐ。敵の射撃がやんだ瞬間に遮蔽物から体を出して俺たちも射撃を開始する。
いくらか敵に弾が当たるが敵は倒れない。どうやら相当良いボディーアーマーを着けているみたいだ。それを倒そうと躍起になったSATの隊員は一瞬だけ体を大きく出しすぎてしまう。
その瞬間、大きな発砲音とともにその隊員の上半身が吹き飛ぶ。
「伏せろ!」
弓削さんの号令に倣ってほかのSATの隊員たちが慌てた様子で遮蔽物に体を隠す。
「どこから撃たれた!」
「おそらく6階から撃たれました!」
「体を出しすぎるな!一発で吹き飛ぶぞ!」
どうやら敵には腕の良いスナイパーがいるようだ。間違いなくスナイパーの適正距離よりも近い位置から撃っているのでまだ処理しやすくはなっているが、それでもあの威力は脅威だ。おそらく体のどこかにかすっただけで戦闘ができなくなるような怪我を負うだろう。
とにかくスナイパーを狙える位置にたどり着くまではどうにかして体をさらさないようにするしかない。しかも通常の敵もアーマーが硬く、倒すのに時間がかかる。非常に難しい局面だろう。
とりあえず先ほどSATの隊員が数発食らわせていた敵が体を大きく出した瞬間にカウンターのような感じで射殺する。
それ以外の敵からも撃たれているがここからでは狙うことができないので射撃がやんだすきに移動して一人づつ仕留めていく。
俺だけではなくここにきている全員が同じように行動して敵を仕留めようとするが、射線に重ならないように移動するのは非常に難しい。
実戦経験が豊富な
すでに遮蔽物からの移動をする段階で3人のSAT隊員がやられている。
『弓削さん、どうにかしないと敵をしとめる前にSATが全滅しますよ!』
『わかってる!とにかく5階にいる敵を掃討するぞ。そこがクリアできない限りスナイパーのいる6階に上がれない』
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