第124話 憎しみが生むもの②

弓削さんが4階に到達した瞬間、前から銃弾が飛んでくる。


幸い銃弾は弓削さんをかすめただけであたりはしなかったが、発砲音がした瞬間俺たちは全員伏せる。


そんな中で先頭にいる弓削さんは相手の位置を確認することもなく決め打ちをして敵をけん制する。その瞬間に俺はフラッシュバンのピンを抜いて前方に投げ込む。


俺の投げたフラッシュバンは廊下の真ん中あたりまで転がっていくとそこで起爆し、閃光を放つ。俺たちは全員がフラッシュバンの影響を受けないように目を閉じていたり、伏せたりしていたので何ともないがこっちを撃ってきていた敵は直視してしまったらしい。


目を抑えながらよろめいている敵を弓削さんは一撃で仕留めて先に進む。


この階層には大きな部屋が一つあるだけで他には仕切りなどで区切られているような場所すらない。そのためここでは待ち伏せている側のほうが有利になりがちだ。しかもこの部屋には様々な備品が置いてあり、陰になるような場所も多い。


先ほどは何事もなく仕留められたがこれからはそうともいかないだろう。


俺たちは死角をなくすようにしながら次の階段に向かう。


その時、おいてあったクローゼットの中から突然人が飛び出してくる。そいつは隊列の中央部にいた蒼葉君を狙って銃を構える。


しかし、蒼葉君も治安部隊パブリックオーダーの一員だ。その程度でひるむような人員じゃない。落ち着いた様子で構える蒼葉君はそのまま飛び出てきた敵構成員の頭を吹き飛ばす。


蒼葉君の近くにいたSATの隊員はホッとした様子ながらも少し、蒼葉君から距離を取る。少年なのにもかかわらず敵といえど人を殺すことに抵抗を感じない姿というのはどこかサイコパス的な要素を感じる。


蒼葉君は手慣れた手つきで排莢し、すぐに銃が撃てる状態に戻す。


俺たちはそのまま進んでいき、部屋の中央部を占拠する。そこには長机が置いてあり、その上には赤い丸が何箇所か付けられた東京の地図が置いてあった。


俺たちの目的はあくまでも敵拠点の制圧なのでそれを回収することはしないが、何かこれからの行動のヒントとなってくれるだろう。


結局、次の階段の前につくまで敵は現れず、俺たちは5階への階段の前まで到達した。小休憩というわけでもないが俺たちはいったん息をつく。


ただ俺たちに時間的な余裕が残されているわけでもない。制圧に時間をかけすぎることによって敵に貴重な情報を処分する余裕を作ってしまう可能性がある。俺たちはすぐに態勢を整えると5階に向かうための階段を上っていく。



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あとがき


1週間ほど学業が大変で休んでいました!ここからはできる限り毎日投稿を完結まで続けていきますのでよろしくお願いします。

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