第118話 不穏の足音㉙
まぁ、結局のところデータベース上の情報だけでは少し不審な点がって怪しいということしかわからない。ここから何を探るなんて言うことは夢のまた夢だろう。
犯人が見せた誰かを待っているようなしぐさだったり、そもそもどこで銃を入手したのかなんて言うのはいまだにわかっていない。犯人が死んでいる影響もあってそこらへんがわかることはないのかもしれないが、非常にもったいない。
ただこの事件が今回の件に関係しているかどうかは全くわからないのでこれに関して調査するのは俺たちの仕事ではないだろう。それにこういうのもなんだが、犯人が死亡している事件でこのぐらいの謎が残っているのは普通ともいえる。今回は犯人の死に方が少し怪しかっただけでほかのところはまぁ、怪しいっちゃ怪しいがわざわざ捜査するようなほどでもないだろう。
俺は世田谷の事件の情報を消してまたもといた情報が集まっているページに帰る。そのまま元やっていたようにどんどんページを遡っていく。ちょくちょくページを開いて気になるものを見ながらも時間を使っていく。
その時突然瀬霜さんが起き上がって俺のほうを見てくる。
「剣持君」
「なんですか?」
「世田谷の件のことだけど、あれは多分何も出てこないよ」
「なんでです?」
「あれ、ちょっと怪しいのはわかるんだけどね。もし全解放戦線とかレゼルとかかかわっていたとしても奴らがあんなしょぼい事件にかかわった痕跡を残すわけがないってこと」
「なるほど、」
「まぁ、あれはかかわってそうな感じするけどね。どうせ弓削君が何か面白い情報を持ってきてくれるだろうから、動かなくても大丈夫だよ」
瀬霜さんは、そういうとまた机の下で横になって寝始めた。
本当に自由な人だ。伝えることだけ簡潔に伝えてそのまま職場で寝るなんて俺ならできない。…まぁ、逆に言えばそれでけ弓削さんを信頼しているってことだろう。弓削さんは事務関係の瀬霜さんを一切信用していないとは思うが。
世田谷の事件から探っていってもだめだというのなら俺にできることはもうない。こうなったら俺にできることはデータベース上にある情報を少しずつ眺めながら弓削さんを待つことだろう。
ちなみに勤務中に仮眠室を使うこともできて菖蒲さんはよくそこに入り浸っている。俺も本当はそこで寝たいと思うこともあるが、まだ高校生である菖蒲さんと同じにみられるというのは社会人として非常にまずいのでできない。本当は俺も寝たいけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます