第116話 不穏の足音㉗
弓削さんはコーヒーを飲み切ると紙コップを潰してごみ箱に捨ててから部屋から出ていく。弓削さんはよく部屋から出て何かやっているみたいだが何をしているんだろう?あまり外で活動することなんて俺にはないのでよくわからない。
ちなみに瀬霜さんと菖蒲さんは隊長が過去の情報を調べようといったときはしっかり自分のパソコンに向かって何かを調べていたのに今はもうやる気をなくして、それぞれがやりたいことをやっている。まぁ、2人はもとからそういう人なので全く期待はしていないしそれをやるのは俺とか弓削さんがやる仕事だ。
「剣持君、何か面白いようなことは見つかった?」
「いえ、結局今回の件での証拠もほとんど使い物にならないものばかりで敵が動くのを待つことになりそうですね」
「まぁ、元から期待はしてなかったけど結局そうなのね」
「はい。自分は昔の事件のことをよく知らなかったので勉強になりましたけど今回の事件に解決に関係するようなものは一切ですね。一応まだ解析は終わっていないらしいのでまだわからないですけど今のところはなしです」
「まぁ、どうせ弓削君が面白いものを今回も見つけてくれるはずだよ」
「え?」
「こういうの弓削君は得意だからね。八潮の時だって彼がどっかから情報を拾ってきてあそこに向かったでしょう?あれと同じ。よく外を出歩いているけどそれでどっかから情報を拾ってきているんだろうね」
「よく外に出るのはそういうことだったんですね。どこで情報拾ってきているんでしょうね?」
「さぁね、全く知らないよ。俺としては仕事が来ちゃうからやめてほしいんだけど、弓削君は一度動き出したら止まらないからね。今回もまかしておけば大丈夫だよ。…それじゃ、俺はこれからに備えて寝ることにするよ」
瀬霜さんはそういうと真昼間の業務中にもかかわらず机の下で寝始めた。
そうやって仕事場で寝るのは終電近くまで働いている人の特権だと思うのは俺だけだろうか?…まぁ、瀬霜さんの弓削さんの次の行動の結果を予測する能力は秀でている。こうやって瀬霜さんが寝るのは本当に次の仕事が近いことを表しているかもしれない。
とにかく今俺ができることは弓削さんを信じて待つことと、体調を整えることだろう。こうやって忙しいと忘れてしまいがちだがまだ手術から1か月もたっていない。普通に考えるのなら体の見えないところにまだ疲れがあったり、どこか違和感があってもおかしくない。瀬霜さんじゃないが今は俺も寝る時期なのかもしれない。
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