第78話 襲撃㉙

とにかく怪我の応急処置も終わったので少し体を動かしてみる。もしそれで体に違和感を覚えるようなら後方に下がることも考えたがどうやら大丈夫なようだ。


『こちら剣持、重武装兵10人の始末を終了。多少の傷は追いましたけどまだ戦闘は可能です』


『こちら弓削、こちらも重武装兵7人の始末が終わった。傷も負ってない』


『こちら蒼葉、こっちも重武装兵9人の始末が終わったよ。怪我もしてないよ』


どうやら残りの2人も俺と同じ重武装兵に襲われていたようだ。ただ2人は無傷で切り抜けたらしい。やっぱりあの2人はすごい。


ともかくここからは夜の戦闘だ。俺は場所が悟られないようにひっそりと息をひそめる。たとえ敵が自分の真上を通ったとしてもこの暗闇ならわからないだろう。


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そうやってずっと身を隠していたがあの重武装兵から一向に敵の援軍が来る気配がない。もしや敵はもう全滅したのか?…いや、そんなはずはない。一番最初の襲撃の時にはもっと多くの敵部隊がいたはずだ。しかもそれを警官隊が殲滅したとは考えにくい。それなら敵はもう撤退したのか?それとも大規模作戦に備えて戦力を集結しているさなかとか?


…まったくわからない。でももしかしたらスナイパーなんかに今まさに狙われている可能性もあるわけだ。下手に動くことができない。とにかく今は本部からの連絡が来るまではじっとしていよう。


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『こちら司令部、瀬霜さんが戻ってきたよ。いったん帰ってきて』


ずっと草むらに隠れている間に司令部から連絡がきた。どうやら瀬霜さんは相当急いだみたいだ。距離と道のりを考えるともっと時間がかかってもおかしくないはずなのにそれよりも全然早い。


瀬霜さんが戻ってきたのは朗報だけど敵の襲撃に関しての謎はまだ残っている。あの襲撃のあとから1回もこちらに来ていない。もしまだ敵に戦力が残っていたのなら絶対に攻めるべき時だった。もしかして本当にもう戦力がないのか?


俺が本部の戻るとそこにはもう俺以外の治安部隊パブリックオーダーの隊員が全員集まっていた。


「剣持さんけがは大丈夫?」


「はい、死ぬような傷じゃなかったですし、もう止血もしました」


「それならよかった」


「瀬霜、それで連絡はとれたのか?」


「もちろん。ただ今はもう夜だからね。この状況でほとんど遭難しているのと変わらない状態の俺たちを発見することはできないから朝まで待ってほしいだってよ」


「まぁ、しょうがない。こんな光もないところで夜間フライトなんて危険だし成果も見込めない」

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