第71話 襲撃㉒

蒼葉君たちがいるところに戻るとそこでは初めにここに来た時と比べて少し落ち着いた様子で全員が休憩をしていた。おそらくけがをした者たちの応急処置が終わったのだろう。


「みんな、無事に帰ってきてくれてうれしいよ」


そうやって俺たちのことを迎え入れたのはミサイルの攻撃で気を失っていた隊長だ。蒼葉君に支えながらではあるがもう大丈夫そうだ。


「隊長!大丈夫でしたか?」


「うん、僕は爆風で飛ばされて地面に頭を打っただけだからね。多分軽い脳震盪だけけだと思うし」


「それならよかったです」


「大仕事を終えたばっかで申し訳ないけどまた作戦を立てようと思うんだ。こっちに来てくれない?」


そういうと隊長は蒼葉君に支えられながらもテントに向かっていく。多分菖蒲さんとかが司令部として使うために臨時で建てたのだろう。


テントの中に入るとそこには大きな机の上にこの山とその周辺を書いた地図が置いてあった。


「まず今僕たちがいるところがここ」


隊長が指さしたところには赤い丸が書かれていた。それにこうやって地図にしてみてみるとまだふもとまでは相当な距離があることがわかる。


「僕たちがこれからできる戦法は主に二つ。ここで救援が来るのをじっと待つか、ついてこれない者たちが出ることを前提として進んでいくか」


「救援が来る可能性はどのぐらいでしょうか?」


「そこそこあるんじゃないかと思うよ。少なくともヘリコプターが1機レーダーからロストしてるんだからそれの確認のために近くの警察とか消防とかがここ周辺にヘリコプターを飛ばすのは確実だからね」


「ただ、それが本当に間に合うのかどうかはわからないということですね」


「そうだね。逆にもう一つのほうなら多くの犠牲を出すとは思うけど少なくとも数人は間違いなく生き残ることができる」


「難しいですね。簡単に俺たちが負けることなんかないですけどこっちの弾薬だって上限はありますし、もしもう1機ヘリコプターなんか派遣されようものなら確実に対応できません」


「山のほうから追手が来ているっていう情報はまだ確認できないけどまず間違いなく山に残っている敵はここに攻めてくる。そうなったときに本当に弾薬が足りるのかとかそういうのはやってみないとわからないところだからね」


「部隊を2つに分けて1つの部隊に救援を呼びに行ってもらうってのはどうですか?」


「それもありではあるけど、そこで選抜されるのは間違いなく治安部隊パブリックオーダーの隊員。それが抜けて本当にここを守り抜けるのかっていう疑問はあるよね」


「確かにそうですね。2人で行ったとしてもここに残るのはあとの2人。それですべてをカバーするのは厳しいと思います」

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